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専門家おすすめ!オランダ観光で絶対見るべき名所建築5選

オランダといわれると、なぜか小学校の社会の授業を思い出します。「干拓によって自分の国の国土を自分の手で作ったのだ」と先生が授業で行ってことが頭に残り、剛健な人々と、土地も自分たちで作り上げるような力強さとオリジナリティーを感じます。そうしてみると、オランダの建築家も、他に国にない強いオリジナリティーを感じます。

本記事の内容

本記事では、私が行ったことのある場所、今後行きたいと思っている場所の中からオランダ観光で絶対見ておきたい名所建築5選を紹介したいと思います。オランダの建築というと、建築を勉強した人の間ではやはり、リートフェルトとコールハースではないでしょうか。時代もデザインも全然違いますが、そのオリジナリティーの強さは同じであると感じます。オランダ建築の魅力は、どの時代も前衛的なデザインに果敢に取り組んでいる点です。そうした力強さを感じる空間にいると、新しいものを作り出したい気持ちになります。

目次

オランダ観光 1選:シュレーダー邸(ヘリット・リートフェルト設計)

ユトレヒトにあるリートフェルト設計のシュレーダー邸です。1924年に竣工しました。まずは、この建築は最初に見ておきたいです。

この家は、シュレーダー夫人と建築家リートフェルトの共同作品と言われています。

二人は、「家族関係についての新しい開放性と、感情的な生活への進歩的な理想」を支持しており、「規律、階層に重点を置いたブルジョワ的思想」を建築設計の中でも実現しようとします。

それは、シュレーダー夫人が未亡人になり、リートフェルトと共同して家を作り、そしてその後にもリートフェルトがそこを自身の家と事務所にしたという、二人の関係性も重要だったと思います。

シュレーダー邸は、デ・ステイルの最も有名な、そして唯一の建築と言えます。シュレーダー夫人は1985年に亡くなるまでこの家に住んでいましたが、その間にこの家を近代建築の重要な建造物として残すべく尽力しました。

実際に、1976年からはオランダの指定建造物になり、2000年からユネスコの世界遺産に登録されています。

Photo: public domain

内部の部屋は、動的で変更可能なオープン空間です。 1階は伝統的な煉瓦の組積造であり間取りもキッチンと3つのベッドルーム(執務室やメイド室を含む)があります。

しかし、2階のリビングエリアは、独立したトイレとバスルームを除いて、大きなオープンゾーンを形成しています。

リートフェルトは、当初このエリアをそのまま大きな一つの部屋にする予定でしたが、シュレーダー夫人は、居住空間として機能するように、開放的でありつつ細分化された形で使用できるように要求しました。

これによって画期的なスライド式、回転式パネルの壁が実現されました。

こうした壁パネルを使用して2階のスペースを開放したり、彼女と3人の子供のため閉じたり、空間を分離できるオプション壁となっています。

ファサードは平面的要素と線的要素をコラージュしています。そのコンポーネントは意図的に切り離されており、互いにすべり抜けているように見えることが特徴です。

各コンポーネントには独自の形、位置、色があります。ファサードの固定性を回避するために、白、グレー、黒の窓とドアフレーム、原色の多数の線形要素が選ばれました。

内部空間と外部空間の区別をなくすための工夫はとても多様です。

窓でさえ、壁に対して90度しか開くことができないようにヒンジで固定されており、開くと新しい壁が出現したように見えるようにしており、内側と外側の輪郭をぼかしています。

見学予約

シュレーダー邸の見学予約サイト

現地でも同じものが売っていますが、事前に見ていくとガイドさんの説明がよく頭に入ります。

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オランダ観光 2選:ユトレヒト大学・エデュカトリアム(レム・コールハース設計)

エデュカトリアムは、OMAのレム・コールハースによって設計されたユトレヒト大学の建物です。

この建築の特徴は、二重に折りたたまれたようにみえるコンクリートスラブです。これは傾斜路を作成したり、折り目がある場所に講堂を配置するのなど、壁、スラブ、屋根といった要素が混交しています。

この建物の機能としては、食堂、400席と500席の2つの講堂、3つの診察室です。

レム・コールハースの建築を自由に見て回ることができるので、内部の体験が面白いです。

この本は、コールハースの有名な本の一つで、プロジェクトの進め方などが写真を通して理解できます。コールハースは、どんなプロジェクトも80%のデザインは捨てていると述べて、できたものと同時にそのプロセスも建築の一部として重きを置いています。

そうした思想がこの本を見ると見えてきます。

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オランダ観光 3選:ファン・ネレ工場(ファン・デル・フルフト=ブリンクマン設計事務所設計)

ロッテルダムにあるファンネレ工場です。

オランダにおけるインターナショナル・スタイルの代表的な例といえます。2014年にユネスコの世界遺産に指定されました。

建設後すぐにル・コルビュジエはこの工場に対して、「この建築は現代の最も美しい光景である」という称賛の言葉を残しています。

建築家 ル・コルビュジエ

設計は、ファン・デル・フルフト=ブリンクマン設計事務所が担当しています。ファン・デル・フルフト=ブリンクマン設計事務所はオフィスの建築を多く手掛けており、当時の鉄筋コンクリートの建設のスペシャリストでした。

ここは、コーヒー、紅茶、タバコ、チューインガム、プリン、米などの加工を行う工場でした。操業が1996年に停止してから、デザインや建築へのテナント貸しなども行われましたが、現在はコワーキングスペースや、会議、イベントなどに使用されています。

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オランダ観光 4選:ミュージアム・ヘット・シップ(ミシェル・デ・クレルク設計)

ヘット・シップ(The Ship)は、アムステルダムにあるアパートメントです。表現主義的建築でアムステルダム派の代表的作品です。

設計は、建築家のミシェル・ド・クラークです。ヘット・シップという名前は建物が船の輪郭に似ていることから付けられました。

ヘット・シップは、19世紀から20世紀初頭にかけてのアムステルダムの大きな住宅不足に対応した建築です。

当時の多くの労働者階級の人々は、電気も水道もない狭い場所に住んでいました。(これはオランダだけではなくパリやロンドンなど、多くの大都市で顕著でした!)暖房設備は貧弱で、泥炭を燃やして暖を取り、貧しい家族同士が共同でひとつの部屋に住んでいました。

オランダ政府は1901年に全国住宅法(Woningwet)を可決しました。この法律は住宅水準に高い基準を設定したもので、これにより古い長屋の解体と新しい住宅ブロックの作成が推進されました。

全国住宅法(Woningwet)

この住宅法は、公共住宅に関連する4つオランダの法律のことです。1901年に成立し最新の日付は2015年です。

最初の法律は、1902年8月1日に施行された住宅法1901です。この住宅法の目的は、環境の悪い家を建てたり住んだりすること時代を抑制し、居住環境の改善と低価格の家の建設を促進することでした。

オランダの公営住宅に関する最初の重要な法律です。

半世紀後の1962年の新しい第2住宅法が続き1965年に施行され、まだ1992年に第3住宅法、2015年に第4住宅法に引き継がれました。

当初の住宅法は住宅建設において政府の中心的役割を強く促進していますが、その後段階的に廃止されています。

アムステルダムの貧しい市民が住むことができるように、良い生活条件と価格が設定されます。それは全国住宅法によって、低所得者向け住宅の開発のための財源が確保されたことによって可能となりました。

この時に作成された手頃な価格の住宅開発のひとつがヘット・シップです。

こうした新しい低所得者向け住宅の多くは、労働者集団、社会主義組織、宗教団体などのグループが運営する協同組合住宅協会によっても資金提供がされてました。

社会主義グループ、アイゲン・ハードが建築家ミシェル・ド・クラークにヘット・シップを含む3つの労働者用住宅の設計を依頼しました。

表現主義的建築として、その外観はあらゆる角度からみても非常に型破りです。ここには、労働者階級のための102の家、会議場、郵便局があり、2001年からはアムステルダム派の博物館も併設されています。

とても見応えがあり、また社会的建築としても重要な事例です。

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オランダ観光 5選:ゾンネストラール・サナトリウム(ヨハネス・ダウカー&バーナード・ビボエ設計)

ゾンネストラールは、オランダにある結核療養所です。建築家のヨハネス・ダウカー&バーナード・ビボエによって設計されました。

ゾンネストラールは、1920年代から結核療養所として建設されました。

建物は、可能な限り多くのオープンスペースを作り、新鮮な空気を取り入れることに焦点を当てた療養所の基本的デザインに沿ってます。

同時に、療養所の機能に従って可能な限り装飾を取り去っていることから、現代建築の機能主義的建築を具体化しているとも見なせます。

建物の大くの部分でガラスを使用し、病室にできるだけ多くの光が入るようになっています。またデザインのよる建物内部の熱上昇を回避するために、建物に冷却システムを組み込みました。

建物は病室を隔てて、治療に必要な十分な日光を各部屋に与えています。

空間を分散させることで、すべての患者が他の患者の部屋や建物に遮られることのない日光浴用バルコニーが実現されました。

結核の治療法が発見されたため、1980年代に放棄された後、建物はユネスコの世界遺産リストに提出されています。現在暫定リストに掲載されています。

ここは、次回に是非とも行ってみたい場所です。

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まとめ

今までにオランダで行ったことのある場所、行きたいと思っている場所の中から建築を選んでみました。やはり何度も足を運ばないと多くの建築を見ることはできませんね。一度行くと新しい発見が必ずあって、それを次回に観に行って確認するという感じです。建築を見る時は、その全体的な歴史性と個別の建築について詳しく調べていくと、得るべきものが違うように思います。そうした見方は専門家的ですが、とにかくその場所に足を運んで体験すると、かならず発見があり面白いです。「良いものを見分ける!」ような、モノを見る目を養うことができるように思います。

注意説明 公共建築以外の場所の特定は行っていません。個人の所有物である住宅は、場所の特定をしないように配慮しております。ご了承くださいませ。

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