建築史家 太田博太郎は、建築史家の中でも最も有名な人物の一人です。
ちなみに、私が初めて読んだ建築史家の本は、この太田博太郎の本です。
日本建築史の研究だけでなく、教育の分野で大きな業績を残した研究者で、多くの後進を育てました。
執筆した書籍の中で特に有名なのは、『日本建築史序説』です。
この本は、日本の古代から明治時代までの建築の歴史を一気にみることができる太田博太郎の集大成とも言えます。
文化財の修理・保存運動も推進し、法隆寺の修復、薬師寺・平城宮の復元などにも関わりました。
というわけで、今回は太田博太郎の執筆した本のご紹介です。
本記事の内容
本記事では、建築史家 太田博太郎が執筆した書籍【8選】を紹介します。太田博太郎は、日本建築史の泰斗であり、まず読んでおかなくてはいけない人、と言われます。しかし、そうした教科書的な読み方よりも、興味のあるものから読めば良いと思います。どれも文章が平易で読みやすいのが特徴です。やはり建築史家は文章がうまくないといけませんね!
目次
- 建築史の先達たち(太田博太郎 著)
- 日本の建築: 歴史と伝統/ちくま学芸文庫(太田博太郎 著)
- 日本建築史序説(太田博太郎 著)
- 奈良の寺々: 古建築の見かた/読みなおす日本史(太田博太郎 著)
- 図説日本住宅史(太田博太郎 著)
- 奈良の宿・日吉館(太田博太郎 著)
- 床の間――日本住宅の象徴/岩波新書(太田博太郎 著)
- 太田博太郎と語る日本建築の歴史と魅力(太田博太郎 著)
1. 建築史の先達たち(太田博太郎 著)
日本建築史を専門としている人におすすめしてもらい、私が建築史について読んだ初めての本です。
とても読みやすく、そして建築史の面白さを知ることができます。
関野貞、足立康など、その業界以外の人にはあまり有名ではない建築歴史家をしることができたのは貴重でした。
建築初学者におすすめできます。
建築史学が今日に至るまでには、先人のたゆまぬ学究とその調査があった。本書は伊東忠太、関野貞、天沼俊一、長谷川輝雄、足立康、堀口捨己、浅野清など、建築史学の先達たちの人となりや研究の苦心談などのエピソードを交えながら、研究・調査そして保存の問題を考え、かつ著者の建築史についての考え方などについて、これまで書かれた小論をまとめた興味ある内容である。
2. 日本の建築: 歴史と伝統/ちくま学芸文庫(太田博太郎 著)
伊勢神宮・法隆寺・桂離宮・金閣寺・銀閣寺などなど・・・
こういう本を読むと、神社やお寺に行きたくなります。
京都に行く前の是非とも一読、あるいは再読するとさらに旅行を楽しめます!
日本固有の建築―それはどのように構築され、また発展を遂げてきたのだろうか。伊勢神宮・法隆寺・桂離宮・金閣寺・銀閣寺など、名建築を時代を追ってつぶさに見ていくことで、外来の様式の影響を受けつつ築きあげられてきた、この国独自のかたちの系譜が浮かびあがってくる。中世の仏教建築は大陸から何を採り入れたか、日本の住宅の室内意匠はどうして装飾の少ないシンプルなものになったのか。日本建築史の泰斗が、時代の経済状況・社会制度から人々の生活・考え方までを考慮しつつ、歴史的建築を論じた、生き生きとした日本文化論。写真・図版多数収録。
3. 日本建築史序説(太田博太郎 著)
日本建築史を学びたい初学者向けにおすすめします。
日本建築史と建築構造などの全体像を通史としてやさしく解説しているので、とてもわかりやすく、そして図説も多いので、見ていて楽しく読めると思います。
特に教科書的なものを求めている場合は、こちらの本がベストですね。
4. 奈良の寺々: 古建築の見かた/読みなおす日本史(太田博太郎 著)
寺院建築の組物など、古建築をみる時に知っておくべき基本的な事柄がわかりやすく説明されています。
奈良の建築を中心としてるので、京都から奈良へ足を伸ばす場合は読んでおくと、寺院観光を楽しめると思います
絵画や彫刻と異なり実用性も要求される建築は、基本的な知識がないと美や良さを理解するのが難しい。奈良の古寺を題材に、基礎用語と建物の構造をやさしく解説した、鑑賞のための入門書。便利な建築用語索引を付す。
5. 図説日本住宅史(太田博太郎 著)
こちらは、日本の住宅についての通史の解説本です。
基本的には貴族住宅から武家の住宅への変遷など、寝殿造りの発生から書院造までの解説が詳しく載っています。
日本建築で必ず出てくる、床の間、付書院などが、どの時代から、どういった意匠変遷によって出てきたかなど、図説によってわかやすくまとめています。
昔の家の中を描いた絵巻作品などの分析方法などもわかるので、絵巻物から住宅史をかんがえるなんてこともできるかと思います。
6. 奈良の宿・日吉館(太田博太郎 著)
日吉館は、奈良市登大路町にあった旅館です。
1914年創業で、1995年まで約80年間にわたり営業しましたが、廃業後2009年に取り壊されてしまいました。
残念です。
奈良を訪れる学者や文化人らがよく利用してた宿で、太田博太郎は日吉館と、その主人と女将について記述しています。
日吉館に焦点を当てて書かれた唯一の本と言っても良いと思います。
読んでみると、行きたくなりますが、もう建築はありません。日本の建築は、すぐに壊されてしまうので儚いですね。
アドラー、
7. 床の間――日本住宅の象徴/岩波新書(太田博太郎 著)
「床の間って何?」という疑問にすべて答えてくれる一冊です。
トリビア的な予備知識をたくさん得ることができるので、日本建築を案内する時に重宝すると思います。
床の間のある家に住みたいという日本人は多いだろう。日本の住宅の象徴といわれる床の間は、いつ、どうして成立し、どのように変化してきたのか。日本建築史学の権威が、厖大な文献・遺構の研究に基づいて気軽に物語る。床の間の前身は中世の押板だった、客が床の間を背に坐るのは後の慣習、など興味深い話題はつきない。
8. 太田博太郎と語る日本建築の歴史と魅力(太田博太郎 著)
太田博太郎との対談です。
対談相手は、谷直樹、藤井恵介、山岸常人、大川直躬、小沢朝江、西和夫、鈴木嘉吉、網野善彦です。
どうですか?そそりますねー!
わたしは、西和夫、網野善彦を見た瞬間即買いです。
本書は、古代・中世・近世の研究者が日本建築史研究の大家・太田博太郎と対談を行い、用語解説や写真・図面を付けて、全体として日本建築史の流れの一面が見えてくるものとなっている。
最後に
如何でしたか?今回は、「日本の建築」をより良くを知るために、建築史家 太田博太郎が執筆した本8選をご紹介しました。どの本からは読んでも良いですが、おすすめは「建築史の先達たち」かなぁ。なぜなら私とその本の出会いがとても良かったからという個人的な理由です。日本人なのに日本の建築史って全然知らなかったなぁと思わされます。
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