パーマネント・ポートフォリオは、投資の基本戦略のひとつです。長期的な分散投資戦略の基本となるものです。
今回は、基本的な投資戦略であるパーマネント・ポートフォリオについて解説します。仕事が忙しくて、とても投資などやっている時間がないという人に、オススメのポートフォリオです。
本記事の内容
パーマネント・ポートフォリオの概略と、実際にETFを買うときに選ぶ銘柄について解説します。
このSUMUKOTOブログではJ-リートについて書いていますが、個別の投資信託購入前にパーマネントポートフォリオなど、もう少し大きな資産運用方針を持ってから、金融商品を購入するほうが良いと思います。
パーマネント・ポートフォリオは、以下で説明するようにリスクと手間を最小限にとどめて資産保全ができる方法です。
目次
1.パーマネントポートフォリオとは何か?
投資をするときにかならず聞く言葉に「ポートフォリオ」という言葉があると思います。ポートフォリオとは、自分の持っているお金を、どのように資産配分するかというものです。
資産とは、現金、株、投資信託、金、不動産などいろいろあります。もっとも安全な資産は何でしょうか?現金という人も多いかと思います。日本はタンス預金が、なんと50兆円と言われています。
家計に眠る現金「タンス預金」。日銀の超低金利政策もあり、じわりと増え続けている。紙幣の流通残高100兆円に対して50兆円(1月末時点)あるといわれる。2024年の新紙幣発行にはそのお金をあぶり出し、消費や投資を活性化させる狙いもあるとみられる。果たしてタンス預金は動くのだろうか。
タンス預金、新札発行で動くか(市場点描)日本経済新聞
現金はたしかに安全な資産のひとつですが、保有しているだけではインフレによって年間1−2%ずつ目減りしていきます。
少なくとも、この資産下落を相殺するようなポートフォリオを持っておく必要があります。
それはどうすれば良いのでしょうか?
この「パーマネントポートフォリオ(恒久ポートフォリオ)」が一つの答えを提示しています。パーマネントポートフォリオは、アメリカのハリ―・ブラウンによって提唱されました。
興味のある人は英語版ですが、以下の本をどうぞ。投資の本は、比較的ストレートな表現なのでわかりやすいと思います。

上記の本を読むとシンプルに書いてあります。全資産を4分割して、それぞれ以下の4つの資産で保有するというものです。
- 米国株:25%
- 長期米国国債:25%
- キャッシュ:25%
- 金:25%
これら4つの資産は、経済の上昇時と下降時に別の値動きをするために、経済状況のあらゆる面でリスクを最小化します。
そして、このパーマネントポートフォリオは年に1回資産配分を見直します。つまりリバランスです。各資産で35%を超えたものがあったときに、その分を売却して資産を4等分(つまり25%)に戻していきます。
これで、リスク回避しながら資産形成が実際にできているのでしょうか?
2.パーマネントポートフォリオの実際の値動き
資産がどのように変化してきたのか、1972年からのポートフォリオの成績を見てみたいと思います。

パーマネントポートフォリオでは、実質リターン(Real Returns)が4.9%となっています。40年間平均の年間実質リターンが4.9%であるのは極めて成績のよいポートフォリオであることが分かります。
こうした実績が説得力を増します。
3.パーマネントポートフォリオの作り方(ETFで作る)
それでは、どうやってこの
パーマネントの資産配分を実現するためには、低コストなインデックスファンドETFを利用するのが一番簡単です。今はどこの証券会社でも海外のインデックスETFを買えます。具体的には以下の銘柄を購入するのが良いと思います。
- 株:IVV、VTI、SPY
- S&P500と連動したものや米国の株式全体の指数と連動したもの
- 長期債権:TLT
- 25年以上の長期国債
- 金:IAU、GLD(このうちどれか)
- iSharesかStreetTracksのETF
- キャッシュ:SHV
- 償還期限の短い国債(T-bill)と連動している短期国債ETF
4.まとめ
パーマネントポートフォリオは、資産を4分割して半分を、金とキャッシュで保有しています。いろいろな意見があるかと思いますが、半分は安全資産で構成されているといってよいかと思います。
あと半分を株式と長期国債に2分割しています。長期国債は、経済状況が良くないときに価格を上昇させる資産となります。また、経済の繁栄期には安定したリターンがあります。
そう考えると、実質のリスク資産は株式だけです。その意味ではパーマネントポートフォリオはかなり保守的な資産管理といえます。
しかし、この保守的で資産をしっかり守る姿を見せていながら実際の成績もかなり良いのが特徴です。
5.最後に
基本的なポートフォリオの枠組みとして、パーマネントポートフォリオを採用しておき、その他にJ-リートや他の資産に分散していくのがひとつのやり方と思います。J-リートにご興味のある方も、その前にぜひパーマネントポートフォリオもチェックしてみてください。