地震が起きてからでは間に合わないことってたくさんあるような気がすけど、具体的には何からすればよいのだろう?たくさんありすぎて、困ってしまう。
そんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、地震に向けた3つの備えについて考えてみます。
本記事の内容
今回は、大規模な地震が起きる前にやっておくべき3つの備えについて解説します。
30年以内に70%の確率で首都直下型地震が起こると言われています。自分の住んでいる近くでも大規模な地震が起こることはありえる想定で準備をしておくことが重要です。地震は人の命も大事な資産も危機にさらされます。まずいちばん大事なのは命ですが、生きていくための重要なインフラである住宅についてもできるだけ備えをしておかなくてはいけません。
地震の備えと、もし被害にあってしまったときのどうすればよいかについてもまとめてみます。
目次
- 地震の備え(1): 現状把握を行う
- 地震の備え(2): 事前対策で住宅を守る
- 地震の備え(3): 当日の動きを確認する
- 地震の被害を受けてしまったら:被災から支援までの流れ
- まとめ
1.地震の備え(1):現状把握を行う
まず、地震は台風の災害と異なり、事前にくることを予測することができません。台風は、ある程度正確にいつ上陸するのかを把握して、当日までに準備をすることが可能ですが、地震は「今」「明日」「5年後」なのか、誰にもわかりません。
そのため、出来るだけ急いで備えを行う一方で、長期にわたってその備えを持続しておくことが必要です。また、区市町村が行う防災訓練の時などに見直してみることをおすすめします。
一番重要なのは、自分と家族の命です。また資産としての住宅を守ることも重要です。そのためにまずやるべきなのは、現状把握です。自分の住んでいる場所、住宅、避難するならばどこなのかなどをしっかりと確認しておきましょう
ハザードマップを確認
まず、市町村が発行しているハザードマップを見ましょう。自分の住んでいる場所が災害において強い場所なのかどうかが一目でわかるように色分けしたものがあるはずです。
国土交通省が提供している
で確認してみるのも良いと思います。また、市町村によってはより詳細なデータを提供している場合もありますので、行政に問い合わせてみましょう。
居住地の近くの断層の確認
地震は、地殻のプレートの歪みが解放されることで起こります。そのときに断層がずれることで被害が拡大します。自分の居住地にある断層を確認しておくことは必須です。
こちらは、産業技術総合研究所が作成した活断層のデータベースです。
ズームすることができるので、こちらでみていくと自分の住んでいる地域に大きな活断層があるかどうかを把握することができます。これによって、今後の対策も大きく変わってきますので、まずは確認をしてみましょう。
たとえば、活断層の近くの住居であるならば、地震時の家屋の被害が大きくなることが予測されます。そのため、地震保険には必ず入っておくことが必要となります。
津波が予測されるのかどうかの確認
津波が予測されるのかどうかについても、以下のサイトから確認をしておきましょう。
国土交通省が提供している
また、津波ハザードマップを独自に作っている自治体も多いので、自治体にはかならず問い合わせを行いましょう
避難場所
避難場所の確認をしましょう。活断層の近くでも平地で広い場所が確保されている場合は、地震で揺れることがあっても、十分に安全を確保できる場合が多いです。避難場所がどこにあるのかを把握しておきましょう。
東京都の防災マップに避難所の情報があります。左側の施設種別から避難所を選んで見ることができます。
緊急連絡方法
家族や友人と緊急連絡先を決めておきましょう。地震が起きると、通常の連絡手段が通じなくなります。最大で通常の50倍の通話が集中すると言われています。
電話やインターネットを通じたSNSなども連絡不能になることがあります。そのため、安否や現状をどのようにして伝えるのかを必ず確認しておきましょう。
総務省が推奨しているのは「災害用伝言サービス」の活用です。
「災害用伝言ダイヤル(171)」 被災地の方が、自宅の電話番号宛てに安否情報(伝言)を音声で録音(登録)し、全国からその音声を再生(確認)することができます。
利用方法は別紙のとおり。「災害用伝言板」 携帯電話・PHSのインターネット接続機能で、被災地の方が伝言を文字によって登録し、携帯電話・PHS番号をもとにして全国から伝言を確認できます。
利用方法は別紙のとおり。「災害用ブロードバンド伝言板(web171)」 被災地の方が、自宅の電話番号宛てに文字・動画・静止画・音声を登録し、全国からその音声等を確認することができます。
総務省の資料より
利用方法は別紙のとおり。
防災用品の確認
最低3日分の食材を保管
必ず、備蓄食料を用意しておくようにしましょう。最低3日分は必要です。セットになってものもインターネットから購入できます。ひとつずつ選んで購入するのは大変なので、セットでダンボールに入っているものが楽です。一応中身を確認した上で、そのまま押入れに入れておけば良いです。
防災グッズの確認
懐中電灯、ラジオなどがセットになった防災セットも良いと思います。大抵小さな防災リュック形式になっています。
もし地震が来ない場合は、それはそれで良いことです。しかし、もし地震が起きて被害が出た場合には必ず必要となりますので、最小限のものでも構わないので用意しておきましょう。家にあるのであれば、まとめて小さなリュックに入れておきましょう。
簡易トイレ
簡易トイレも必ず用意しておきましょう。緊急時にもトイレは必ず必要となりますし、ないとかなり困るものです。もし利用できる公共施設があったとしても長蛇の列になります。そんな時のためにかならず用意しておきましょう。
2.地震の備え(2):事前対策で住宅を守る
地震保険に加入しているか確認
地震保険は、単体では入ることができません。火災保険とセットなっているため、まずは火災保険の項目の中にある地震保険に加入しているのかどうかを確認しましょう。ローンを払っている場合は、火災保険に加入しているはずです。しかし、ローンが払い終わった後は、火災保険に加入していない場合も多いです。
- 特約で地震保険に加入できますので、必ず入っておくのをおすすめします。
- 建物と家財でそれぞれ加入することができるので、どこに重きをおくのかよく考えて加入する
落下物がないか、倒れそうな家具の確認
地震では、家具の下敷きになって大怪我をしたりすることも多いです。特に大型の家具や、大型テレビがある場合はかならず壁や床との接合をおこなって、万が一の時に倒れないようにしましょう。
塀の強度の確認
一戸建てに住んでいる人は、建物以外にも外壁があることが多いと思います。外壁は地震の時に倒壊したり、倒れて他人を巻き込んでしまうこともあります。特に古いブロック塀は強度の確認を行いましょう。また、必要に応じて、補強を行って他人を巻き込んでの被害が起こらないようにしましょう。
住宅構造を確認
地震で重要なことは、住宅の構造をしっかり知っておくことです。昔の住宅は、木造で瓦屋でした。古い木造は昔ながらの軸組造といわれる工法で、屋根に重い瓦が載っていると、強度は強くありません。地震後の映像で、屋根に押しつぶされるように一階が完全に潰れている住宅を目にすることがありますが、昔ながらの作り方では、強度が足りません。
木造
現在は、強度を持たせるように強度壁計算をして地震に耐えられる構造をしています。また、ほとんどの家では重い瓦屋根は載せないので、大地震でも十分に耐えることができます。
鉄筋コンクリート(ラーメン構造)
鉄筋コンクリート造の中でも、柱と梁で構成されるラーメン構造といわれる工法があります。梁と梁は剛接合で、大地震でも強度は十分です。
鉄筋コンクリート(壁構造)
住宅の中でもっとも強度が高いのが、鉄筋コンクリート造の壁構造といわれるものです。大きなコンクリートの壁が構造体なので、非常に強い強度を持っています。大地震でも構造的には全く問題ありません。
鉄骨構造
鉄骨構造の家は、鉄筋コンクリートにくらべてかなり軽い部材ですが木造よりは重く強度があります。地震にも十分に耐える強度があります。
それぞれの構造には、メリットとデメリットがあります。まずは、自分の家の構造を確認しましょう。また、家の中にも強度の強い場所と弱い場所があります。寝室は、できるだけ強度の強い場所に変更するようにしましょう。
もし、強度が心配な場合は専門家に検査をしてもらいましょう。
耐震リフォームの検討
専門家に診てもらった強度に問題がある場合は、耐震リフォームの検討をしましょう。耐震リフォームをすることで、強度が飛躍的に上がり、地震によって全壊してしまうような住宅も、十分に強度を確保することができるようになります。
しかし、耐震リフォームは住居の構造体に手を入れることになるため、できる場合とできない場合があります。また、費用も思ったよりもかかることがあるので、いろんなリフォーム会社にみてもらうことをおすすめします。
3.地震の備え(3):当日の動きを確認する
地震が起きた直後の行動
地震直後にパニックにならないために、地震が起きて3分間の間に何ができるのかをしっかりと把握しておきましょう。
基本的には、「自分自身の安全確保」「家族の安全確保」を行い、その後「初期消火」「ガラス破片対策」、状況次第で「屋外へ避難」「近隣の人たちとの協力」が重要です。
必ず、頭の中で十分にシミュレーションをしておきましょう。
地震発生0分
- 自分自身の安全確保
- 火を消すこと
- 窓や戸を開ける
地震発生1分
- 初期消火を行う
- ガラス破片に気をつけて靴を履く
- 家族の確認
地震発生2分
- ガスは可能ならば元栓を止める
- 状況に応じて外に出る
地震発生3分
- 近隣の人の確認
- 火災消火、けが人の確認
まずは、自分の身を守り、周りの人との助け合いが重要です。地震発生3分の行動をシミュレーションしておきましょう。
自宅に帰れない時の動き
自宅に戻れない場合は、無理に戻ることは控えましょう。高齢者や子供がいる場合は、施設で保護されているかどうかの確認をしましょう。
家族と連絡を取れない時の動き
安否の確認のためには、家族とあらかじめ連絡手段の確認をしておかないといけません。電話やインターネットは通じなくなるので、上述した「災害用伝言サービス」を利用しましょう。
また、一回「災害用伝言サービス」を使ってみることも重要です。一度利用すると、どのようにすればよいかすぐにわかります。
交通情報を調べるために
災害直後は、交通網は止まり情報は錯綜します。多くのフェイク情報も出るので、惑わされないように近くの避難所に行くようにしましょう、災害時は、行政のホームページに必要な情報が載ってくるので、そちらを確認するようにしましょう。
東京都であれば、東京都防災ホームページの下方に情報があります。
ライフライン情報を調べるために
ガス・水道・電気などが地震によってストップした場合の復旧情報も行政から発信されます。各地域の自治体に、緊急時の対応がどのようになっているのかを確認しましょう。
東京都であれば、東京都防災ホームページの下の方に情報があります。
4.地震の被害を受けてしまったら
住家被害認定調査(区市町村が実施)
住居の被害があった場合は、まず住家被害認定調査を区市町村に行ってもらいます。この証明書がないと罹災証明書の交付ができません。まずは、この認定が必要となります。
住家全壊(全焼・全流失)
住家がその居住のための基本的機能を喪失したもの、すなわち、住家全部が倒壊、流失、埋没、焼失したもの、または住家の損壊が甚だしく、補修により元通りに再使用することが困難なもので、具体的には、住家の損壊、焼失若しくは流失した部分の床面積がその住家の延床面積の70%以上に達した程度のもの、 または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が50%以上に達した程度のものとする。
災害の被害認定基準について
住家半壊(半焼)
住家がその居住のための基本的機能の一部を喪失したもの、すなわち、住家の損壊が甚だしいが、補修すれば元通りに再使用できる程度のもので、具体的には、損壊部分がその住家の延床面積の20%以上70%未満のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が20%以上50%未満のものとする。
災害の被害認定基準について
罹災証明書交付(区市町村が実施)
上記の住家被害認定書が発行されたら、罹災証明書の発行を申請することができます。罹災証明書は、居住している区市町村へ申請します。
各種生活再建支援 (国、区市町村、NGOなど)
罹災証明書をもらったことで、初めて各種生活支援を受けることが可能となる。特に、住宅が消失した場合は、あたらしく生活を始めるための様々な支援策を受けることが必要となる。
内閣府の被災者生活再建支援法について情報発信をしているので参考となるが、非常にページが見にくいのでどんな支援策があるのかが分かりません。いかに支援法の概略をまとめます。具体的には以下の通りで、50万円から200万円までの支援策があります。
5.まとめ
今回は、地震に向けた3つの備えについて解説しました。
まず、自分の命を守るのが基本です。自分の命があって初めて家族を守ることができます。
家族の命、そして大切な資産としての住居を守るために、地震が起こる前に十分な準備を行っておきましょう。
最後に
まずは、現状を把握しましょう。現状の把握をすると、一番足りないものが何か見えてきます。足りないものがわかれば、行動に移すことができるようになります。漠然としていても、誰かが行動してくれるわけではないので、まずは現状把握からやりましょう。
そして、少しづつ地震対策を進めていきましょう。対策をすると、地震の時の行動もわかるので、実際に災害が起こった時に心に余裕が少しでもうまれます。そうすると、冷静な判断ができるようになり、いざって時に適切が行動が可能となります。