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払い過ぎ?賃貸の「仲介手数料」は、0.5ヵ月分でよいという話!

今回は、賃貸の「仲介手数料0.5ヵ月で良い」という話をしたいと思います。

本記事の内容

賃貸の「仲介手数料」は、実は上限が法律で決まっています。その上限が1ヵ月分ということです。今回は、法的なところと実際のところを、判例も示しながら解説したいと思います!

✔POINT

建築設計の仕事をやっていると、顧客と話している中で時々不動産取引の手数料の話がでています。「手数料高いですよねー!」という話の流れで、仲介手数料の話をするのですが、1ヵ月分じゃなくて、0.5ヵ月分で本当は良いという話をすると、かなり驚かれます。

不動産取引は、業者と顧客の間でかなりの「知識の差」があります。これを逆手にとっているのが、まさに「仲介手数料1か月」であると思います。

もちろん、不動産屋さんのサービスによって変動があっても良いはずなのに、一律なんですよねー。競争が働いていないのですよね。今日は、そんな価格競争になかなかメスの入らない不動産業と仲介手数料のお話です。

目次

  1. 仲介手数料とは?
  2. どこで、仲介手数料が1ヵ月分になっているのか?
  3. 「仲介手数料0.5ヵ月でよい」という判例
  4. 不動産業者と交渉可能か?
  5. まとめ
  6. 最後に

1.仲介手数料とは?

不動産の取引は、宅地建物取引士という国家資格所持者のみが扱える業務独占の取引です。不動産業者は、みんな持っていますので、みなさん国家資格保持者ということになります。

業務独占資格なので、報酬もしっかりと法律で定められています。以下の法律とあとは、国土交通省の告示です。

宅地建物取引業法(報酬)第四十六条

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2.宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
3.国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
4.宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。

1項に「報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる」とあります。この記述により、国土交通大臣は、国土交通省告示第172号で実際の報酬額を定めています。

4項に「宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。」とあります。

不動産業者は、報酬の額をどこかに明示しているはずです。「講習のみやすい場所」と書いてありますから、これが明示されていない場合はダメです。

それでは、次に実際の告示を見てみましょう!

「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」

昭和45年建設省告示第1552号)
最終改正 平成26年2月28日 国土交通省告示第172号

第四 貸借の媒介に関する報酬の額

宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の1.08倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の0.54倍に相当する金額以内とする。

ここに実際の額が決められています。

「依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該宅地又は建物の借賃の一月分の1.08倍に相当する金額」

とあります。ここでの着目点は二つ。

「依頼者の双方から」とあるので、大家さんと、借主さんですね。そう!実は二人からもらいますよー!というのが最初に書かれています。

さらに、「一月分の1.08倍」とあります。報酬の上限が示されています。さらに、ここからの記述が重要です。

「この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の0.54倍に相当する金額以内とする。」

ですが、この場合とは「一月分の1.08倍」もらう場合です。この時に、「依頼者の承諾を得ている場合を除き」、「借賃の一月分の0.54倍に相当する金額以内」なので、ここで基本は、「0.54倍」と記述しています。

基本は片方からもらう手数料は「0.54倍」ということがしっかりと定められています。

しかし、この後の記述「依頼者の承諾を得ている場合を除き」が曲者です。

依頼者の承諾を得ている場合は、一月分の1.08倍までOKなのです。

この規定を利用して、私たちは仲介手数料1ヵ月を払うことになっているのです。悔しいですねーー!!

2.どこで、仲介手数料が1ヵ月分になっているのか?

私たちは、いつ、どこで

依頼者の承諾を得ている場合」の記述に対応するように、

「1か月分の手数料でいいですよー」と承諾しているのでしょうか?

これは、いくつか不動産業者には言い分があります。

まず、物件紹介広告に「仲介手数料1ヵ月分」の明記があること。小さくても必ずあります!よく見てくださいね。借り手はこれに対して異議を申し立てることはないです。そりゃそうだ!このことから積極的な承諾ではないのですが、消極的な承諾となっていると見做しているのです。

また、重要事項証明書という書類があります。

この説明は、宅地建物取引士のみが行うことができるもので、取引時にはかならず「証明書」を明示して説明を行うことが決められています。

証明書を出して名前を明示して説明していなかったら、ダメですよー!もし、証明書を出していなくて、バイトとかにさせている場合はダメ業者なので、いますぐ取引はやめましょう!

大体この重要事項説明の時に、他の項目と一緒に「さらっと仲介手数料1ヵ月」説明しています。みたことある人も多いと思いますが、必要以上に小さな文字で、びっしり書かれており、いかにも「しっかりしてますよー」という感じです。

しかし、どの取引もだいたい記述は同じですから、多くの記述は使い回しです。

そして、この説明時に異議を申し立てるのは素人にはほぼ不可能です。

この際に、「実際は手数料は0.5%が基本ですが、私たちはコレコレの理由で手数料を1ヵ月にしています!」というのが、普通の会社の取引でしょう。しかし、不動産取引は知識の差もあり、また「書類の公式性が高いような感じ・・・」でなんか、流されてしまうのが現状です。

このようにして、私たちは手数料1か月分払っているのです。

3.「仲介手数料0.5ヵ月でよい」という判例

毎日新聞が2019年8月8日に報じた記事を見てみましょう!この中で、仲介手数料は「0.5か月」が基本であることが確認されました。

賃貸住宅を借りた際に、家賃1カ月分の仲介手数料を支払った借り主の男性が「原則は賃料0.5カ月分だ」として、仲介業者の東急リバブル(本社・東京都渋谷区)に手数料の一部返還を求めた訴訟で、東京地裁(大嶋洋志裁判長)は「業者が男性から承諾を得ていなかった」として男性の請求を認めた。住宅の賃貸物件の手数料は国の告示で原則0.5カ月、上限1カ月分と定められているが、1カ月分の手数料を請求する業者が多いとされる。判決は仲介実務に影響を与える可能性もある。

毎日新聞2019年8月8日 18時03分(最終更新 8月8日 21時00分)

とあります。理由は、「業者が男性から承諾を得ていなかった」ということです。

上記で言うならば、東急リバブル側が借主から「積極的な承諾」をもらうことが必要であったとことになります。

つまり、仲介手数料が0.5か月ではなく、1か月分とした場合の理由付けがしっかりしていて、それを借主側が理解した上で承諾する必要性を明示しています。

4.不動産業者と交渉可能か?

仲介手数料1ヵ月というのは業界慣習で決まっていて、なかなか変化しません。それは当然収入が大きく変わることなので、業界全体で守っているような状況です。

実際の交渉はなかなか難しいです。だから、裁判にまでなっているのですから。

しかし、中には仲介手数料を0.5か月分とする業者もあります。なんと無料という業者もあるのです!それは、大手ではなく中・小規模の会社が多いですね。それは、当然顧客獲得手段の大きなポイントだからです。これは、要チェックです。

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不動産業界はテクノロジー改革が遅いですが、今後は0.5%を基本とするようなサービスが増えてくると思います。待ち遠しいです!

あと1点連絡です。別に1ヵ月分払うのがダメなわけじゃないのです。でも何かその対価にサービスがあるのがわかりやすいです。

1ヵ月分を払っても良いと思うサービスとはなんでしょうか?(ここは、ビジネツモデルによりますね!)不動産業者自体がなにか独自のサービスを行っている場合、仲介手数料が上がる可能性があります。顧客がそのサービスに対して対価を払って良いと思えば、もちろん1ヵ月分でも良いわけです。

なんか、流されて、なあなあな感じで払うのが嫌なのです!!

5.まとめ

今回は、仲介手数料を0.5か月分が基本であることをお伝えしました!

不動産知識に大きな差があることが、不動産取引の不均衡だったり、不満だったりを生んでいます。

やはり、最低限の知識をつけていく必要があります。このサイトでも、様々な不動産関係の事柄を紹介していこうと思います!

最後に

手数料云々で、不動産会社と「いやーな」関係になってしまうのは嫌です。やっぱり、気持ちよく家探しをして、取引したいです。なので、今のところは手数料無料だったり割引を謳っている業者で取引するのが良いかと思います。素敵な家を見つけてくださいね!

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