デザイナー アッキーレ・カスティリオーニは、イタリアのミラノ出身のデザイナーです。兄弟のリビオとピア・ジャコモと共にチームで設計しました。
本記事の内容
本記事では、デザイナー アッキーレ・カスティリオーニの略歴、代表作、書籍を紹介したいと思います。デザイナー アッキーレ・カスティリオーニは、イタリア・ミラノ出身のデザイナーです。イタリアの近代家具デザインを代表するデザイナーです。ARCOランプは見たことのある人も多いのではないでしょうか。こちらは、兄のピア・ジャコモとの共作です。家族や兄弟で工房をやっているのが「イタリアの職人」という感じですね。兄のピア・ジャコモが亡くなった後に、一人で仕事を始めます。
目次
- デザイナー アッキーレ・カスティリオーニの略歴
- デザイナー アッキーレ・カスティリオーニの代表作 紹介
- 1954 ミラノ・トリエンナーレ
- 1957 メザドロスツール La sedia Mezzadro
- 1962 ARCOフロアランプ
- デザイナー アッキーレ・カスティリオーニの書籍 紹介
- まとめ
1.デザイナー アッキーレ・カスティリオーニの略歴
デザイナー アッキーレ・カスティリオーニは、1918年にイタリアのミラノで生まれました。
父親のジャンニーノ・カスティリオーニは彫刻家で、母リヴィア・ボラの三男として生まれ、アッキーレの兄のリビオとピア・ジャコモは両方とも建築家となります。
カスティリオーニはミラノのリセ(フランスの後期中等教育機関で日本の高等学校に相当する)で古典を学び、その後芸術を学びます。
1937年にアッキーレ・カスティリオーニはミラノ工科大学の建築学部に入学しました。
第二次世界大戦が勃発すると兵役につき、将校としてギリシャ戦線に駐屯し、後にシチリアにも駐屯しました。アッキーレ・カスティリオーニは1943年の連合国侵攻の前にミラノに戻り、1944年3月にミラノ工科大学を卒業しました。
戦争が終わったとき、アッキーレ・カスティリオーニは、彼の兄弟であるリビオとピア・ジャコモが1938年にルイージ・カッチャド・ミニオーニと始めた建築設計の実務に加わりました。
仕事の多くは展示会の設計でしたが、1943年の爆撃によって破壊されたパラッツォ・デッラ・ペルマネンテ再建(1952-53)も実施しました。
リビオが事務所を辞めて、ピア・ジャコモが1968年に亡くなるまで、アッキーレはチームとして仕事をしていました。そのため、多くのデザインは、誰か特定の人に依存するものではありませんでした。
ピア・ジャコモの死後、アッキーレは個人で仕事をするようになります。1969年から、アッキーレはトリノ工科大学で建築とデザインの科目を教え、1980年にミラノ工科大学で正教授となります。
有名な作品としては、Mezzadro and Sella(1957)、Sanlucaアームチェア(1959)、Tubinoデスクランプ(1951)、Luminatorフロアランプ(1955)、Flos製のArcoフロアランプ(1962)などがあります。
アッキーレ・カスティリオーニの主な作品は、ニューヨークのMOMAに永久コレクションとなり、1997年に、キュレーターのパオロ・アントネリがイタリアのデザイナーに関する史上最大の回顧展を行いました。ロンドンのビクトリア・アンド・アルバート博物館、チューリッヒのクンスト・ゲヴェルベ博物館、ミュンヘンのシュタット・リッチ博物館などにもアッキーレ・カスティリオーニの作品があります。
アッキーレ・カスティリオーニは2002年12月にミラノのカステッロ広場にある彼のスタジオで転倒し、その後84歳で亡くなりました。
2.デザイナー アッキーレ・カスティリオーニの代表作 紹介
1954 ミラノ・トリエンナーレ
ミラノ・トリエンナーレの展示設計はチームで行ったものです。
1947年にブロンズメダル、1951年と1954年にグランプリ、1957年にシルバーメダルとゴールドメダル、1960年にゴールドメダル、1963年にもメダルを獲得しています。
1957 メザドロスツール La sedia Mezzadro
メザドロスツール(Mezzadro Stool)は、イタリアの家具会社ザノッタ(Zanotta)のために、1957年にピア・ジャコモとアッキーレによって設計された椅子です。このスツール、二人の革新的なアイデアにより製品化され、まさに1950年代後半のイタリアンデザインのアイコンとなっています。
メザドロスツールのプロトタイプは、1954年の第10回ミラノトリエンナーレに展示され、1957年に完成しました。その後1971年にザノッタによって生産されています。
メザドロは、ジャコモとアッキーレのカスティリオーニ兄弟の研究から生まれたスツールであり、快適で合理的なラインとシンプルさを兼ね備えています。
このスツールは、ダダイズムの構成から説明されることもあります。
ダダイズム:第一次世界大戦に対する抵抗と虚無感を根底に持ち、既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想を特徴とする。
このスツールは、既製のスツールを破壊してもう一度作り直すというダダイストの思想をもっています。
メザドロスツールは、シンプルで珍しい構成の遊び心のあるスツールに変身した「トラクターのサドル」とも言えるでしょう。
こうしたさまざまな意味を持ような想像力豊かな製品をデザインする楽しみを、カスティリオーニのデザインは持っています。
実際に、カスティリオーニ兄弟は、工業用部品の組み立てを通じてメザドロのデザインに到達しました。
つまりデザインの概念を一部否定して、既製で互いに関係のないさまざまな種類のオブジェクトを組み立て直したのです。それは、何かレヴィ=ストロースの「野生の思考」にも通じるものがありますね。
カスティリオーニ兄弟は、木製のペグで安定化されたクロスボウに取り付けられた農業用トラクターシートをスツールとして提案します。
そしてカスティリオーニ兄弟は、製品が生まれた畑の生活を正確に表すために、スツールにメザドロ(小作農)という名前を付けたそうです。
1962 ARCOフロアランプ
ARCOランプは、1962年にイタリアの家具照明会社Flosのために、ピア・ジャコモとアッキーレによって設計されたランプです。
これは、最も有名な工業用デザイン製品の1つであり、イタリアンデザインの象徴的なオブジェクトです。
ミラノのトリエンナーレデザインミュージアムとニューヨークのMoMAのパーマネント・コレクションとなっています。
これは、工業用製品としての著作権保護が芸術作品のように認められた最初の工業用デザインとも言えます。
このランプの主なコンセプトは、その汎用性と実用性にあります。
テーブル、机、本などの関心のある場所の上に、できるだけ他のものに拘束されることなく、ライトポイントを実際に「吊り下げる」というアイデアから来ています。
吊り下げられた照明システムは、固定点によって限定されていません。
実際、Arcoランプの下のスペースを利用できる構造のおかげで、シャンデリアのように目的の場所にライトポイントを調整できます。
また容易に移動することもできます。
大理石のベースに円形の貫通穴があり、ほうきの柄などの棒を挿入してランプを別の場所に簡単に移動できます。
3.デザイナー アッキーレ・カスティリオーニの書籍 紹介
アキッレ・カスティリオーニ自由の探求としてのデザイン
アキッレ・カスティリオーニの本は、良い本が日本語も英語も絶版となっています。残念ですが、中古の本しかありません。
こちらは、アキッレ・カスティリオーニで、多くの資料を用いてアキッレ・カスティリオーニのデザイン哲学を読み解いています。
こちらを読むと、きっとファンになる人も多いのでは・・・!おすすめなんですが、中古しかありません。
良い中古の本を見つけたら、興味のある人は是非とも手に入れておきましょう!
4.まとめ
デザイナー アッキーレ・カスティリオーニは、イタリアのモダン家具を代表するデザイナーのひとりです。ARCOランプはとても有名で、今もその斬新なデザインに圧倒されます。いつかは自分の家にほしいなと思います。置きたい家具から家を考えるのも良いですね。