建築家 ジャン・ヌーヴェルは、フランス出身の建築家です。パリを拠点に多くの優れたプロジェクトが世界中にあります。日本では、電通ビルはジャン・ヌーヴェルの設計です。
本記事の内容
本記事では、建築家 ジャン・ヌーヴェルの略歴、代表作、書籍を紹介したいと思います。建築家 ジャン・ヌーヴェルは、パリを拠点に活躍するフランスを代表する建築家です。出世作である世界アラブ研究所は、イスラムの美学・文化的要素を工学的な技術によって、機能面・技術面・美的側面を融合させた稀有なアイデアのファサード(窓)が有名です。是非機会があれば見に行ってみましょう!窓は故障しているという報告もありますが、今はどうなのでしょう。
目次
- 建築家 ジャン・ヌーヴェルの略歴
- 建築家 ジャン・ヌーヴェルの代表作 紹介
- 1987 アラブ世界研究所
- 1994 カルティエ現代美術財団
- 2006 ケ・ブランリ美術館
- 建築家 ジャン・ヌーヴェルの書籍 紹介
- まとめ
1.建築家 ジャン・ヌーヴェルの略歴
建築家 ジャン・ヌーヴェルは、1945年にフランスのフメルで生まれました。
両親はジャン・ヌーヴェルに数学と言語を学ぶように勧めましたが、高等学校でジャン・ヌーヴェルは芸術に魅了されました。家族はジャン・ヌーヴェルが芸術よりも将来設計として可能性の高い建築への移行を促したそうです。
ジャン・ヌーヴェルはボルドーのエコール・デ・ボザールでの入学試験に不合格したのち、パリに移りエコール・ナショナル・スペリオール・デ・ボザールに入学し、その間1967年から1970年まで、ジャン・ヌーヴェルは建築家のクロード・ペアレントとポール・ヴィリリオの助手となり大規模な集合住宅の建設を担当しました。
25歳で学校を修了した後キャリアの早い段階で、ヌーベルはフランスの建築理論家の主要な論客になりました。1981年、アーキテクチャー・スタジオと協力して、ジャン・ヌーヴェルはパリのInstitut du Monde Arabe(アラブ世界研究所)の設計コンペで最優秀賞と取り国際的な建築家となります。有名な南壁の自動的に開閉する機械式レンズは、アラビア格子を連想させており室内照明を制御しています。
ヌーヴェルには、1972年から1984年の間に、ギルバート・レゼネス、ジャン・フランソワ・ギヨ、ピエール・ソリアという異なるパートナーがいました。 その後、1985年エマニュエル・ブラモン、ジャン・マルクイボス、ミルト・ヴィタールとともに、ジャン・ヌーヴェル・エアソシエを設立しました。
現在のアトリエ・ジャン・ヌーヴェルは1994年にミシェル・ペリシエと結成され、140人以上のスタッフがいます。13か国で30のアクティブなプロジェクトに取り組んでいます。
ジャン・ヌーヴェルは、200を超える建築プロジェクトが大きく評価され2008年にプリツカー賞を受賞しました。特に審査員は、建築の境界を広げるために、新しいアイデアへの勇気ある追求と規範への挑戦を強調しています。アラブ世界研究所(1987)、ガスリーシアター(2006)、カルティエ現代美術財団(1994)、ルツェルンのカルチャーアンドコンベンションセンター(2000)、リヨンのオペラ・ヌーヴェル(1993)などです。
現在も精力的に活動を行っています。
2.建築家 ジャン・ヌーヴェルの代表作 紹介
1987 アラブ世界研究所
アラブ世界研究所(Institut du Monde Arabe、略称「IMA」)は、アラブ世界とその文化的、精神的な情報を研究し普及させるために、フランスと18のアラブ諸国によって1980年にパリに設立された組織です。 施設内には、博物館、図書館、講堂、レストラン、オフィス、会議室があります。
もともとは、1973年にヴァレリー・ジスカール・デスタン大統領によって考案されミッテラン大統領のもと、1981年から1987年にかけて「グランド・プロジェクト」という都市開発の一環として建設されました。
建物は1981年から1987年にかけて建設されました。建物は大きな都市ブロックとセーヌ川の間にあり、川の正面は水路のカーブに沿っています。セーヌ川側の曲面とは対照的に、南西のファサードは妥協のない長方形のガラス張りのカーテンウォールです。シテ島とノートルダム大聖堂の方向に開いた大きな正方形の公共スペースを提供しています。
ガラスの壁の後ろに見える金属のスクリーンは、動く幾何学的なモチーフです。このアラブ文様の円形モチーフは、実際には240の感光性モーター制御の絞り、またはシャッターであり、太陽から建物に入る光と熱の量を自動的に開閉する洗練されたブリーズ・ソレイユとして機能します。このメカニズムは、フィルター処理された光で内部空間を作成します。これはイスラム建築でよく使用される効果です。
革新的なテクノロジーの使用と建物の設計の成功は、ヌーベルを世界的に有名な建築家にしました。この建物でジャン・ヌーヴェルは1989年のアガ・カーン建築優秀賞を受賞しました。
1994 カルティエ現代美術財団
カルティエ現代美術財団(Fondation Cartier pour l’Art Contemporain)は、単にカルティエ財団(Fondation Cartier)とも呼ばれます。フランスの首都パリ14区のラスパイユ大通りにある現代美術館です。
カルティエ財団は1984年から、若いアーティストにデビューする機会を提供し、コレクションに作品を組んでいます。1994年に、ジャン・ヌーヴェルが設計したガラス張りの現在の建物に移転しました。大通りに面したガラスのファサードがとても印象的です。
2006 ケ・ブランリ美術館
フランスのパリにあるケ・ブランリ美術館は、アフリカ、アジア、オセアニア、アメリカの先住民の芸術と文化を展示する博物館です。博物館のコレクションは100万点を超え、そのうちの3,500点が常設展示と一時展示されています。
25,000平方メートルの面積を占めるケ・ブランリ美術館のために選択されたサイトは、ミッテラン大統領が推進する国際会議センターを対象としたものでしたが、近隣の住民からの激しい反対により、そのプロジェクトは中止されました。1999年の初めに新しい美術館の国際コンペが開催されジャン・ヌーヴェルが選ばれました。
新しい博物館のデザインでは、ジャン・ヌーヴェルはミッテラン・プロジェクトを妨害した隣人の批判を考慮に入れ、できるだけ周囲から隠れて見えないように設計されました。本館は周囲の建物よりも低く見えるように設計されており庭園によって遮られています。本館の形状はセーヌ川の曲線に沿っており、隣接するオスマン時代の建物と調和するように建設されています。曲がりくねった坂道でつながっている、美術館のメインギャラリーと中二階博物館の複合施設には4つの建物があり、延べ床面積は30,000平方メートルを占めています。
ジャン・ヌーベルは、ギャラリースペースに作品を守るバリアや手すりを含めないことで、今までの美術館建築の前例を取り払い、アーティストの作品を解放するように博物館の内部を設計しました。 また4つの主要な領域を区切る物理的または空間的な障壁がないため、訪問者は1つの内部から別の内部に容易に移動して、ある種のシミュレートされた「旅」を経験できます。
また作品のラベルはほとんど隠されており、文化的な歴史ではなくディスプレイの美的品質が強調されているようです。
博物館のギャラリーを含む本館は長さ210メートルで屋上に3,000平方メートルのテラスがあります。これはパリで最大の屋上テラスです。庭から10メートルのところにある巨大な橋のように構築されており、東端と西端の2つの大きなコンクリートサイロと26本の鉄骨柱で支えられています。建物の周りの庭の木が成長するにつれて、柱は完全に隠され、建物は木の上に置かれているように見えます。
訪問者は小さな入り口から本館に入り、その後200メートルの長さの緩やかな坂を上りながらメインギャラリーに向かいます。メインギャラリーは内部が比較的暗く、外部からの太陽光が少量入っており、常設展示の展示物にのみ直接照明が当たっています。
北側には30の異なるギャラリーが配置されており、構造の外側には異なる色のボックスとして見えています。3つの中二階がメインギャラリーを見下ろしています。別の建物には管理事務所があり5階には140の作業スペースがあります。
また、ケ・ブランリ美術館特徴は建物の北側のセーヌ川に面した、生きている植物で構成された緑の壁です。
3.建築家 ジャン・ヌーヴェルの書籍 紹介
El Croquis 183 – Jean Nouvel 2007-2016 Contemporary Reflections
El Croquisは多くの有名建築家の作品集を出版していて、写真も文章も充実しているのでとてもおすすめです。ジャン・ヌーベルの作品を一覧できます。
やはり、いざって時にこのシリーズは持っていて安心です。価格は少し高いですが、本棚にあるとなんか嬉しくなりますね。
- 発売日 : 2016/3/2
- ペーパーバック : 288ページ
- ISBN-10 : 8488386885
- ISBN-13 : 978-8488386885
- 出版社 : El Croquis (2016/3/2)
4.まとめ
建築家 ジャン・ヌーヴェルは、フランス出身で世界の現代建築を代表する建築家のひとりです。アラブ世界研究所の窓、スイスのルツェルンにある文化コンベンションセンターの屋根など、実際に見てみると「あっ」と驚くような光学的な仕掛けと美的側面が高いレベルで融合しているのを感じます。バリッとスーツを決めて、見にいきたくなるような建築が多いです。