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建築家 鬼頭梓を知ろう! 東京経済大学旧図書館/日野市立中央図書館など

建築家 鬼頭梓は、東京の吉祥寺出身の建築家です。日本の図書館建築の第一人者としても知られています。

本記事の内容

本記事では、建築家 鬼頭梓の略歴、代表作、書籍を紹介したいと思います。建築家 鬼頭梓は、日本の近代を代表する建築家です。前川國男事務所で多くの公共建築に関わり、その後は図書館を主体に社会と人間性を軸に建築を考えてきた建築家です。建築の職能について実作を通して次世代に伝えており、今の建築家はこうした姿勢をしっかり受け継ぐ必要があると思います。

目次

  1. 建築家 鬼頭梓の略歴
  2. 建築家 鬼頭梓の代表作 紹介
    • 1968 東京経済大学旧図書館(現 大倉喜八郎進一層館)
    • 1973 日野市立中央図書館
    • 1987 武蔵野市立図書館
  3. 建築家 鬼頭梓の書籍 紹介
  4. まとめ

1.建築家 鬼頭梓の略歴

建築家 鬼頭梓は、1926年に東京の吉祥寺で生まれました。

1950年に東京大学第一工学部建築学科を卒業し、前川國男建築設計事務所に入所します。前川國男建築設計事務所で多くの公共建築、図書館建築を担当したことがその後の設計に大きな影響を与えます。前川國男建築設計事務所では神奈川県立図書館、国立国会図書館などを担当します。

1964年に前川國男建築設計事務所を退所して、自らの設計事務所として鬼頭梓建築設計事務所を設立します。事務所独立してからの最初の大きな仕事が、1968年に竣工で出世作となる東京経済大学図書館です。この図書館は、構造を木村俊彦と協働していることも注目すべき点です。この東京経済大学図書館は、建築界で大きな評価を得ます。

その後、鬼頭梓は多くの図書館建築を行なっていきます。その中で特に注目するべきは日野市立図書館です。この日野市立図書館は、もともと移動図書館としてスタートした図書館を、日野市立中央図書館として公共生活の中心として位置付け直したものです。この日野市立中央図書館は、日本の公共図書館のあり方を大きく変えていくきっかけとなりました。

鬼頭梓は図書館の民主主義性を重要視し、図書館を「知識・情報への容易なアクセスを保障するシステム」と捉えました。そして、図書館自体を身近で開放的な空間として実現しました。まさに、図書館建築の第一人者です。

2005年に竣工した函館市中央図書館まで、30以上の図書館建築を設計しました。鬼頭梓の設計理念は師である前川國男からも多くの影響を受けています。それは、デザインの自由さにおいてのことです。鬼頭梓は、設計とは建築的な秩序を軸としながら、本来的にはそうした建築的な秩序とは関係のない生活者のために行う行為と捉えました。「デザインの自由は、常にクライアントと社会のために行使されるという限界を超えることは許されない」と言っています。

それは、現代の建築に多い恣意的なデザイン性、特に技術的可能性によって自身の表明としての造形を優先させること、それによる人間性の欠如を懸念しています。自身の表明としての造形は芸術家がやるべきで、建築家の職業倫理はそこにあってはいけないということです。

日本建築家協会の要職を歴任し、1992年からは同協会会長を務めました。

2008年に82歳で亡くなります。

2.建築家 鬼頭梓代表作 紹介

1968 東京経済大学旧図書館(現 大倉喜八郎進一層館)

東京経済大学旧図書館 (現 大倉喜八郎進一層館)は、 1968年に竣工しました。設計は鬼頭梓、構造設計は木村俊彦です。第20回日本建築学会賞作品賞を受賞し、DOCOMOMO Japanに選定されました。

東京経済大学旧図書館は、建築家鬼頭梓の出世作といえます。正面から見ると平屋であり、水平線が強調されています。また、側面には地下二階までの部分が見えます。コンクリート柱で持ち上げられた屋根と、ガラスのカーテンウォールがとても美しい建築です。こういうすばらしい建築が残って本当に良かったと思います。

木村俊彦によ構造的な部分で着目するべきは、屋根スラブとコンクリート柱の接続部分でしょう。東京経済大学旧図書館の主構造は、コンクリート同士を剛接合するラーメン構造ではありません。可動式のピン接合ですね。大きな特注の蝶番により柱と屋根スラブを接続しています。外側の柱で屋根を支える特徴的な構造です。

1968 東京経済大学旧図書館(現 大倉喜八郎進一層館) 建築家 鬼頭梓

1973 日野市立中央図書館

日野市立図書館は1973年に竣工しました。もともと1台の移動図書館が最初です。日野市立図書館の館長であった前川恒雄と鬼頭梓の二人により、その後の日本の公共図書館のありかた決定付けるほどの大きな影響を与えました。

じつはそれまでの図書館は閲覧が中心でした。しかし、前川恒雄館長による「貸出サービスを主体とした図書館こそが本来の図書館の目的を完遂できる」という理念により、現在は当たり前となった住民への貸し出しサービスが実現されました。まさにその先駆けです。

図書館は、1階がL型で一体の空間となり、一般と児童の閲覧を分離しています。また中庭を臨む空間も開放的な気持ちの良い視線を提供しています。

1973 日野市立中央図書館 建築家 鬼頭梓

1987 武蔵野市立図書館

武蔵野市立図書館は、東京都武蔵野市にある公共図書館です。 中央図書館、吉祥寺図書館、武蔵野プレイスがあり、このうち中央図書館と吉祥寺図書館の2館を鬼頭梓が設計しました。

中央図書館

1995年に武蔵野市立図書館中央図書館が竣工しました。「武蔵野市立中央図書館建築基本計画策定委員会」が設立され、図書館の一般利用者、ボランティア、目の不自由な人、PTAや学校関係者などが望ましい図書館を議論としました。

1階の南には大きな吹き抜けをもち、高い天井と大きなガラスが解放感を増幅させます。また、前庭との一体感を感じさせる空間です。前庭はもともと近隣住民の憩いの場を担っていた場所であったため、そうした従来の役割も引き継ぐ空間していることも重要です。コンクリート、石、レンガ、木などの多様な素材によって、機能的でありながら素材感のある建築となっています。

吉祥寺図書館

吉祥寺図書館は1987年に竣工しました。吉祥寺駅から歩いてすぐの場所にあるため、武蔵野市の住民だけでなく、通勤者、通学者、買い物客が多い図書館となっています。

この吉祥寺図書館の敷地周辺は風俗店が多かったため、吉祥寺図書館はこうした地域の環境改善という目的も担っていました。1983年に武蔵野市は公共文化施設周辺への風俗店出店を規制する条例を策定し、約260坪の吉祥寺図書館用土地を公有地として買い上げました。

市役所と市民が一体となって吉祥寺図書館構想をすすめて、図書館建築の第一人者である鬼頭梓に設計を依頼しました。図書館としては狭い敷地条件でしたが、コンパクトな図書館として必要な点を絞り込み、使いやすく親しみやすい図書館として、1989年に第5回日本図書館協会建築賞を受賞しています。

1階と地下1階をつなぐ吹き抜けが、全体としての一体感を強めています。本に囲まれた身近な空間として、市民が自分の家の延長と感じられるような素晴らしい環境を提供しています。

武蔵野市立図書館吉祥寺図書館 建築家 鬼頭梓

3.建築家 鬼頭梓の書籍 紹介

建築家の自由―鬼頭梓と図書館建築

鬼頭梓を知るための最初の一冊として、重要な図書館建築がコンパクトにまとめられています。図面集ではなく、鬼頭梓の読み物的な一冊としても良いと思います。

4.まとめ

建築家 鬼頭梓は、日本の近代を代表する建築家です。図書館建築の第一人者であり、図書館を通して情報アクセスの民主性をすすめました。民主主義性をこうした図書館建築から考えるという見方も面白いですね。日野市立中央図書館で、本の貸し出しシステムという今では一般的なったシステムを日本で初めて実現したことでも有名です。

注意説明 公共建築以外の場所の特定は行っていません。個人の所有物である住宅は、場所の特定をしないように配慮しております。ご了承くださいませ。

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