日本において建築家 ブルーノ・タウトは、建築家というよりも日本文化を再発見し、世界に紹介した人物として知られています。
ブルーノ・タウトは、プロイセン時代のドイツ・ケーニヒスベルク生まれです。
1914年に設計した「ガラスの家・パビリオン」で大きく評価されて、表現主義の建築家として知られるようになりました。
ナチスの迫害から逃れてソ連に滞在し、その後上野伊三郎の勧めで日本を訪れます。
3年半の滞在中に見聞きし影響を受けた日本文化を分かりやすい言葉で発表し、大きな反響を呼びます。
その後、ドイツの建築家がトルコで設計をしていたことから、トルコ政府の招きによって移住して多くの表現主義建築をトルコで残します。
というわけで、今回はブルーノ・タウトの執筆した本のご紹介です。
詳しくは以下のサイトをご覧くださいませ。
本記事の内容
本記事では、建築家 ブルーノ・タウトを通して、「日本文化」のことをより良くを知り、ブルーのタウトの考え方を理解するために重要な書籍【11選】を紹介します。ブルーノ・タウトの本といえば、やはり日本の文化を見直す「日本美の再発見」が定番です。私としては、この時代にジェンダー的な視点を取り入れた「新しい住居―つくり手としての女性」も必見ですね。
目次
- 日本美の再発見 増補改訳版/岩波新書(ブルーノ・タウト 著)
- 図説精読 日本美の再発見: タウトの見た日本(ブルーノ・タウト 著)
- ニッポン ヨーロッパ人の眼で見た/講談社学術文庫(ブルーノ・タウト 著)
- 忘れられた日本/中公文庫(ブルーノ・タウト 著)
- 日本文化私観/講談社学術文庫(ブルーノ・タウト 著)
- 建築とは何か/SD選書 95(ブルーノ・タウト 著)
- 新しい住居―つくり手としての女性(ブルーノ・タウト 著)
- タウト建築論講義(ブルーノ・タウト 著)
- 画帖桂離宮/1981年(ブルーノ・タウト 著)
- 一住宅(ブルーノ・タウト 著)
- 都市の冠(ブルーノ・タウト 著)
1. 日本美の再発見 増補改訳版/岩波新書(ブルーノ・タウト 著)
ブルーノタウトといえば、まずはこの本です。
近代建築の信奉者であったブルーノタウトは、日本建築の中にすでに存在していた先見的な近代性を発見し世界に発信します。
それによって、「伝統的な日本建築の素晴らしさ」を日本人は再認識します。
目の前にあるものは、あたりまえすぎてなかなか気づかないものです。
桂離宮をはじめ、伊勢神宮、飛騨白川の農家および秋田の民家などの美は、ドイツの建築家タウトによって「再発見」された。彼は、ナチスを逃れて滞在した日本で、はからずもそれらの日本建築に「最大の単純の中の最大の芸術」の典型を見いだしたのであった。日本建築に接して驚嘆し、それを通して日本文化の深奥に遊んだ魂の記録。
2. 図説精読 日本美の再発見: タウトの見た日本(ブルーノ・タウト 著)
こちらは、上記の「日本美の再発見: タウトの見た日本」をさらに楽しめる構成となっています。
読んだことがある人も、新しい発見があると思うので、読み直しには最適です。
石元泰博の写真もあり、私的にも必見でした!
桂離宮をはじめとする名建築はもちろんのこと,旅で出会った秋田,高山,下呂など地方の町と人のことも愛情たっぷりに語る――タウトの美意識が結晶した『日本美の再発見』は多くの日本人に読み継がれてきた.一冊をより味わうために細やかな注を付し,スケッチ,日記などを収録する.石元泰博,松村芳治両氏の美しい写真を多数掲載.
3. ニッポン ヨーロッパ人の眼で見た/講談社学術文庫(ブルーノ・タウト 著)
こちらは、日本に関するブルーノ・タウトの最初の書籍になります。
タウトは第二次世界大戦時にナチスにドイツを追われます。その後ソ連を経て、1933年に日本にたどりつきました。
タウトは、京都の伊勢神宮と桂離宮を訪れて、日本建築の厳格でミニマルな性格を高く評価したことで知られています。
この本は、そうしたタウトの日本建築への素直な驚きが、高い評価に結びついているのが分かります。
ドイツの世界的建築家ブルーノ・タウトは、1933年に憧れの日本を訪れた。伊勢神宮や桂離宮など日本古来の建築にふれたタウトは、そこに日本美の極致を見た。簡素・単純・静閑・純粋――それらの絶妙な均斉を具現した桂離宮を絶賛、その対極として華美な日光東照宮を捉え、さらに仏像、能、歌舞伎などにも深い関心をよせた。日本文化の再評価に大きな影響を与えた、タウトの最初の日本印象記。
4. 忘れられた日本/中公文庫(ブルーノ・タウト 著)
こちらは、タウトの遺稿の中から日本に関連したものを再編集してまとめたものです。
上記の「ニッポン ヨーロッパ人の眼で見た」 に掲載されていない視点もあるので、タウトの考え方を知るのに必須です。
ドイツの世界的建築家タウトが一九三三年から三年間、日本に滞在した際の見聞記。桂離宮、伊勢神宮、床の間とその裏側から日本の農家、心、禅、いかものといんちき、げてものかハイカラなどについて日本人の心象・季節感まで幅広く語る。日本文化の再評価に大きく貢献したタウトの遺稿を知己であった訳者が再編集した珠玉の論考集。
5. 日本文化私観/講談社学術文庫(ブルーノ・タウト 著)
「ニッポン ヨーロッパ人の眼で見た」と双璧をなすのがこちらの書籍です。
やはり内容は、伊勢神宮や桂離宮に触れながら、より深く「日本芸術(絵画、彫刻、工芸、建築)」全般について語られています。
伊勢神宮や桂離宮などに日本美の極致を見たタウトは、建築家としての鋭い直観と透徹した哲学的瞑想とにより、神道や絵画、彫刻や工芸、建築など、日本の芸術と文化を更に深く見つめた。彼の透徹した眼識力と歴史認識は、日本人が忘却している日本の伝統的精神の復活をうながさずにはおかず、日本人と日本文化に寄せる真情は、読む人の心にせまる。名著『ニッポン』と並ぶ必読のタウトの日本文化論。
6. 建築とは何か/SD選書 95(ブルーノ・タウト 著)
こちらは、タウトの持論が展開されています。
建築とは一体何か?それは人によって様々な答えがありますが、タウトは「建築とは釣り合いの芸術」であると明言します。
そして、技術、構造、機能、質などを取り上げて説明していきます。
タウトは表現主義的な建築を信奉しているので、そうした考え方の根本を知ることができます。
初めて世に公刊されたタウトのこの遺稿は、建築に関する彼の理念がもっとも如実に語られている。日本建築に世界的な評価を与え、海外はもとより国内でもあらためてその真価を知らしめたタウトの建築芸術論。
7. 新しい住居―つくり手としての女性(ブルーノ・タウト 著)
こちらは、「建築とジェンダー」という今でもかなり新しいテーマです。
この時代に女性と建築を絡めた議論をしていることに、かなりの先見性を感じます。
「伝統のしがらみを払拭し、女性が能動的に自由に住居計画」に関わるためには、どうするのが良いか、その答えを探っています。
建築と人の暮らしの関係を本質的に捉え直し、意識のレベルでの変革を求めるタウトの住宅論。家中に漂う古い因習、伝統のしがらみを払拭し、女性が能動的に自由に住居計画に携わることを提言する。
8. タウト建築論講義(ブルーノ・タウト 著)
こちらは、タウトの大学における講義録です。
タウトの授業を受けているようで、内容は現在でも通用する社会問題に切り込んでいます。結構新鮮ですね!
語り継ぐべき純粋な建築観を復元した新訳。図版の選定までタウトの意思が反映された唯一の著作であり、その集大成となる大学講義録は、経済優先の建築の貧しさ、風土性の欠如など、今日に通じる課題が満ちている。
9. 画帖桂離宮/1981年(ブルーノ・タウト 著)
こちらは、安い書籍があれば早めに手に入れておくと良いと思います。
なぜか、限定品なのに定価よりも安い場合などもあります。びっくり!
書籍としては人気がないのかもしれませんが、建築をやっている人にはタウトのスケッチはなかなか興味深いと思います。
桂離宮の機能美に強く打たれた建築家ブルーノ・タウトがその感動をみずから描き留めた本画帖は,タウト生誕100年を記念して小社より復刻され,好評を博した.ブルーノ・タウト資料館が開設されるなど,タウト再評価の機運が高まった今日,多くの読者の要望にこたえ特別復刻版として刊行する.「岩波書店より」
10. 一住宅(ブルーノ・タウト 著)
タウトがベルリンに設計した自邸のプロセスを記述しています。
やはり、自邸は自分の考えを表現するのに一番良い素材ですね!
ブルーノ・タウトがベルリン郊外に計画した自邸の設計プロセスを始めから終わりまで事細かに解説した本書は、建築家タウトの住宅論の「実践編」として読み解くことができる。原書にはない彩色図版を参考として付し、本邦初訳で刊行する。
11. 都市の冠(ブルーノ・タウト 著)
こちらは、ブルーノ・タウトの言説もさることながら、ブルーノ・タウトを支持した3人(パウル・シェーアバルト、エーリッヒ・バロン、アドルフ・ベーネ―)の文章が掲載されています。
近代建築を表現主義的な方向性で押し進めたブルーノ・タウトは、建築業界を超えてさまざまな知識人に影響を与えています。
ブルーノ・タウトが、建築、都市に関する自らの論文と設計案を中核としつつ、3人の支持者―表現主義の詩人、SF小説家であったパウル・シェーアバルト、政治ジャーナリストであったエーリッヒ・バロン、美術評論家であったアドルフ・ベーネ―の文章を加え、独特の編集を行った、作品とも言える書籍。
邦訳にあたっては、タウトによる原著の構成を忠実に再現した。「中央公論美術出版より」
最後に
如何でしたか?今回は「日本文化」をより良くを知り、さらにブルーノ・タウトの考え方を理解するために、ブルーノ・タウト自身が執筆した本11選をご紹介しました。この、「外国人によって日本文化が再度見直された」という構図は、今でもよく見られますね。自分の足元にある大事な文化をしっかりを見つけられる視点を意識したいと思います。
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