「中古マンション購入完全ガイド」連載中!

インフレ率を考慮して30年後のマンションの資産価値を試算する

マンション

家賃払うのもったいない!広告を見ると月10万円でマンションが買えるって書いてあったなぁー。家賃もったいないから、今買おうかな?

でも、買ったらマンションの資産価値がどれぐらい下がるんだろう?インフレしたらマンション価値はどうなるのかな?

と悩んでいる人も多いのでは? そんな疑問に答えます。

本記事の内容


首都圏の中古マンション購入データから、30年後のマンションの資産価値を推定します。


✔POINT

新築で購入した瞬間から、マンションの資産価値が下がっていく?もちろん、そんなマンションばかりではありません。再開発によって急速に土地の価格が急騰して、資産価値が爆発的に増える物件もあります。中には、地震や自然災害によって資産価値が落ちる場合もあります。駅近の物件は資産価値が急速には変化しないかもしれません。


資産価値は物件次第です。個別に見ると当然大きな差がありますが、ここでは現時点の首都圏の中古マンション売値の平均値から、30年後のマンションの資産価値を資産してみたいと思います。またインフレ率も考慮した試算も出してみます。


目次

  1. 計算の前提(首都圏のマンション価格)
  2. 計算の前提(住宅ローンの返済期間と金利)
  3. 首都圏の新築マンション価格の下落率を推定
  4. マンションの売値を推定
  5. インフレ率を考慮してマンション売値を推定
  6. 「住宅ローン+マンション資産」と「賃貸+貯金」の関係
  7. まとめ

1.計算の前提(首都圏のマンション価格)

2018年の首都圏の一戸あたりの新築マンション価格を不動産経済研究所のデータから見てみます。今回は、以下のデータをマンション価格の前提として計算します。

㎡単価 87.5万円

2018年上半期の1戸当たりの1㎡当たり平均単価は87.5万円。

不動産経済研究所

よって、60平米相当のマンション価格は5,250万円となります。

2.計算の前提(住宅ローンの返済期間と金利)

もうひとつ、前提条件としてローンの期間ですが、多くの人が30〜35年ローンを組んでおり、金利は現時点(2019年)で歴史的な低水準ですのでこれを反映します。

今回は、以下のようにします。

  • ローン期間 30年
  • 金利 0.6% (計算上固定とします)
  • 借入金額 5,250万円
  • ローン総支払額 5,795万円

3.首都圏の新築マンション価格の下落率を推定

次に、現時点の新築マンション価格(㎡単価)から見て、築年数が経つに従ってどのような下落率にあるのかを見ます。

根拠となるのは、「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年)」です。

これを元に1㎡あたり単価から、下落率を計算します。

築年数平米単価(万円)下落率
新築87.5
築0〜5年81.07%
築6〜10年68.122%
築11〜15年60.631%
築16〜20年52.840%
築21〜25年38.756%
築26〜30年29.766%
築31年〜31.764%

大きな傾向が見えてきました。

築5年程度の築浅物件の下落率は7%程度ですが、当然築年数が経つに従って下落率が高くなっていきます。築10年で22%、築20年で40%の下落となっています。築30年で66%の下落です。

今後の計算の前提として、この築年数による下落率は変わらないとしています。(もちろん、実際には変化しますが)

留意点:昭和56年(1981年)以前の物件に適用される「旧耐震基準」が影響している物件はここには含まれていません。

留意点:今回の推定では、個別マンションを購入した当時からどのように資産価値が下落したのかという個別データを見ていません。現在の新築マンションの㎡単価(購入価格)から見て、築30年の物件の㎡単価(売値)がどのような水準(下落率)にあるのかを重要な指標としています。

4.マンションの売値を推定

これを元に、現在購入したマンションが築年数によってどれぐらいの売値になるのか推定してみます。

まず単純なモデルにするので、首都圏のマンションの延床面積で最も多い60㎡とします。30年後も新築マンションの売値が同じ(インフレ0%)だとすると、下落率は上記と同じと仮定して売値価格は以下のとおりです。

30年後の中古マンション市場(インフレ0%の時 60㎡)

築年数平米単価売値価格下落率
新築87.55250
築0〜5年81.048587%
築6〜10年68.1408422%
築11〜15年60.6363431%
築16〜20年52.8316640%
築21〜25年38.7232256%
築26〜30年29.7178166%

この表の見方としては、30年後の㎡単価はインフレ0%なので87.5万円で変化してない。その場合、築30年の物件は売値が1781万円である。

5.インフレ率を考慮してマンション売値を推定

ここで考えておきたいのはインフレ率です。30年後の世界は誰にもわかりませんが、インフレによって㎡単価が当然上がっていることが予想されます。むしろ、そのように予想したいです。

日本の2018年のインフレ率は、0.98%でした。日銀は、年平均2%を目指しています。そこで、インフレ率1%と2%の両方で考えてみます。

  • 現時点の新築販売価格(㎡単価) 87.5万円
  • 30年後(インフレ率1%) 117.9万円
  • 30年後(インフレ率2%) 158.4万円

となります。ここから先程の計算で求めた下落率から、築年数別の推定価格を推定してみます。

30年後の中古マンション市場(インフレ1%の時 60㎡)

30年間インフレ率1%とすると、30年後の㎡単価は117.9万円となっています。築年数による下落率は同じとすると、以下の通りです。

築年数平米単価マンション価格下落率
新築117.97074
築0〜5年109.165457%
築6〜10年91.7550222%
築11〜15年81.6489631%
築16〜20年71.1426640%
築21〜25年52.1312956%
築26〜30年40.0240066%

この表の見方としては、30年後の㎡単価はインフレによって117.9万円となっている。その場合、築30年の物件は売値が2400万円である。

30年後の中古マンション市場(インフレ2%の時 60㎡)

上記と同様の計算です。30年間インフレ率2%とすると、30年後の㎡単価は158.4万円となっています。築年数による下落率は同じとすると、以下の通りです。

築年数平米単価平米単価下落率
新築158.49504
築0〜5年146.687947%
築6〜10年123.2739222%
築11〜15年109.6657831%
築16〜20年95.5573240%
築21〜25年70.1420356%
築26〜30年53.7322466%

この表の見方としては、30年後の㎡単価はインフレによって158.4万円となっている。その場合、築30年の物件は売値が3224万円である。

6.「住宅ローン+マンション資産」と「賃貸+貯金」の関係

最後に住宅ローンとの関係を見てみます。

30年後のマンション資産(インフレ0%の時)

  • 購入金額 5,250万円
  • ローン総支払額 5,795万円
  • マンション資産額(売値額) 1,781万円
  • ローン支払とマンション資産額の差(5795-1781) 4,014万円支払い超過

30年後のマンション資産(インフレ1%の時)

  • 購入金額 5,250万円
  • ローン総支払額 5,795万円
  • マンション資産額(売値額) 2,400万円
  • ローン支払とマンション資産額の差(5795-2400) 3,395万円支払い超過

30年後のマンション資産(インフレ2%の時)

  • 購入金額 5,250万円
  • ローン総支払額 5,795万円
  • マンション資産額(売値額) 3,224万円
  • ローン支払とマンション資産額の差(5795-3224) 2,571万円支払い超過

賃貸していた人の例で考えてみよう!

もし30年後にマンションを売却したとすると、手元にマンション資産額分の現金が入ってきます。これは、賃貸していた人では「貯金」に当たります。

また「支払い超過分」が「30年間住んだ家」に対して支払ったものなので、賃貸でいうと「家賃」に当たります。

よって、ずっと30年間賃貸していた人と比較するならば、以下のことと同様です。

インフレ0%の時

  • 家賃 11万円
  • 貯金 4.9万円

インフレ1%の時

  • 家賃 9.4万円
  • 貯金 6.6万円

インフレ2%の時

  • 家賃 7.1万円
  • 貯金 8.9万円

これを、30年間続ける。特に貯金の部分はかなり苦しい時があるかもしれません。住宅ローンの場合は、強制的に払い続けることが必要となるので住宅ローンのほうが強制力が働きますね。

最後に


30年後の首都圏のマンションの売値がどの様になっているのかは誰にもわかりませんが、日本がゆるかやにでも成長していくと仮定して上記の計算になります。私は、日本は今後も高度な人材を受け入れてゆるやかに発展していくと見ています。


もしそうであるならば、上記の「家賃と貯金」、そして「30年後の売値」を天秤にかけてみるとどうすればよいか判断できる材料となります。

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