本記事の内容
本記事では、中古マンションを購入したい人向けに、資金計画から購入までのすべての流れについて把握することで、より良い物件を適正価格で、納得して購入する方法について解説したいとおもいます。
ーーー題して、『中古マンション購入完全ガイド』です。ーーー
中古マンション購入完全ガイド(19)では、住宅ローン減税制度について解説します。住宅ローン減税制度を利用すると、結構大きな金額が返ってきます。この税金還付で固定資産税などを支払えたりするので、かならず利用しましょう。
中古マンション購入完全ガイド一覧
- (1)購入の流れ・全体像を把握しよう
- (2)購入時の諸費用のすべてを知ろう
- (3)購入相場を見極める方法
- (4)購入のための資金計画をしよう
- (5)購入資金1000万円を貯める方法
- (6)住宅ローンの計画を立てよう
- (7)銀行の住宅ローン7選 を徹底比較します
- (8)フラット35 を徹底比較します
- (9)中古マンションの<物件探し>の方法
- (10)おすすめのデザインリフォーム済マンション販売会社
- (11)中古マンションの資産価値チェックを必ずしよう
- (12)物件の内覧・内見ポイントを教えます(チェックリストあり)
- (13)中古投資マンションの選び方
- (14)災害に強いマンションの選び方
- (15)地震・火災保険の選び方
- (16)火災保険を見積比較でシミュレーションしよう
- (17)契約・決済の手順をまとめます
- (18)マンション購入後の税金について解説します
- (19)住宅ローン減税制度を利用しよう ←今回はココ
- (20)引っ越しに役立つタスクリスト・備忘録一覧(チェックリストあり)
- (21)引越し一括見積りで引越し料金を半額にするトーク術
- (22)購入後に資産価値を維持するマンション・メンテナンスの方法
本記事の目次
- 住宅ローン減税制度とは何ですか?
- 新築・中古・リフォーム別:住宅ローン控除の適用条件
- 適用される住宅ローンの条件とは?
- いくらの税金が還付されるのか?
- シュミレーションしてみましょう
- 確定申告における住宅ローン減税の手続き方法
- まとめ
住宅ローン減税制度とは何ですか?
ここでは、住宅ローン減税制度について解説します。
住宅ローン控除制度とも呼ばれ、また正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。
住宅ローンを利用して、住宅用の不動産を購入したとき、またはリフォームをしたときに、所得から一定要件のもとで控除が受けられることで、所得税の減税ができる制度です。
大きなお金が減税されるので、国による住宅購入の後押しとなっています。
2019年より消費税率の引上げに伴って拡充されています(3年延長)
消費税が10%に上がったことから、2019年10月より住宅ローン減税の内容が変更がありました。
大きな変更は、控除を受けられる期間が最長10年間から3年間延長されたことです。
なんと、13年間になります。マンション購入を検討している人には朗報ですね。
是非ともこの制度をしっかり利用して、節税を行いましょう。
新築・中古・リフォーム別:住宅ローン控除の適用条件
住宅ローン減税の利用のためには、以下の要件が必要となります。
新築、中古、リフォームによって要件が異なります。ここでは、それぞれの要件の違いをまとめておきたいと思います。
新築の場合:住宅ローン減税制度の適用条件
新築住宅を購入する場合には、次の条件を満たさなければいけません。(国税庁「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」)
- 減税を受けようとする人自身が、住宅の引渡し日から6ヵ月以内に居住すること
- 特別控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
- 対象となる住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上が自身の居住用であること
- 対象となる住宅に対して10年以上にわたるローンがあること
- 居住用にした年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例といった適用を受けていないこと
中古の場合:住宅ローン減税制度の適用条件
中古住宅の場合は、耐震基準の条件が上記に追加されます。(国税庁「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」)
まず基本の条件をクリアします。
- 減税を受けようとする人自身が、住宅の引渡し日から6ヵ月以内に居住すること
- 特別控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
- 対象となる住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上が自身の居住用であること
- 対象となる住宅に対して10年以上にわたるローンがあること
- 居住用にした年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例といった適用を受けていないこと
それに加えて、以下の基準のいずれかがクリアできればOKです。
- 住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得していること
- 耐震基準適合証明書を取得していること
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入していること
- 築年数が一定年数以下であること(木造の場合は20年以下、耐火建築物の場合は25年以下)
リフォーム、増築の場合:住宅ローン減税制度の適用条件
リフォームや増築の場合は以下のとおりです。
まず基本の適用条件をクリアします。
- 減税を受けようとする人自身が、住宅の引渡し日から6ヵ月以内に居住すること
- 特別控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
- 対象となる住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上が自身の居住用であること
- 対象となる住宅に対して10年以上にわたるローンがあること
- 居住用にした年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例といった適用を受けていないこと
それに加えて、以下の条件をクリアします。(国税庁「No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」)
- 増改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模な模様替え(壁・柱・床・はり、屋根または階段のいずれか1つ以上)の工事
- マンションの専有部分の床、階段または壁の過半についておこなう一定の修繕・模様替えの工事
- 家屋・マンションの専有部分のうちリビング、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床、または壁の全部についておこなう修繕・模様替えの工事
- 耐震改修工事(現行の耐震基準への適合)
- 一定のバリアフリー改修工事
- 一定の省エネ改修工事
リフォームや増築の適用条件は、結構複雑なので専門家に聞くのが良いと思います。
こういうときの専門家は建築家ではないですね。
知っている人も多いと思いますが、専門家としては税理士さんが良いと思います。
適用される住宅ローンの条件とは?
住宅ローン控除の対象となるためには、住宅ローンの適用条件も確認しておく必要があります(国税庁「No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」)。
しっかりと確認しておきましょう。
住宅ローンの条件
- 適用を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
- 自己居住用の住宅とその敷地取得のための借入れで、一体として借入れられたものであること
- 返済期間が10年以上あること
- 借入れは次の6つのいずれかからのものであること
- 銀行
- 農協・信用金庫・信用組合
- 住宅金融支援機構
- 地方公共団体
- 各種公務員共済組合
- 勤務先(市場金利を換算して定められた0.2%以上の金利、2016年12月31日以前に居住用とした場合は1%以上)
特別条件も確認する
公平性のために、居住した年とその前後2年間(合計5年間)で、特定居住用財産の買換え特例などを使っていると本制度が利用できないなどの制限があります。
ここも、税金の複雑な処理が必要となるので、わからない点は税理士さんに確認してみましょう。
いくらの税金が還付されるのか?
住宅ローン減税は、毎年末の住宅ローン残高の1%が所得税から控除されます。
所得税額が住宅ローン減税額より少ない場合は、翌年の住民税から差し引かれることになります。これで余すところ無く、控除される仕組みです。
控除期間は、以下のようになっています。消費税の導入に伴ってすこし複雑ですね。
確認しておきましょう!
適用消費税率 | 8% | 10% | 10% |
居住開始期 | 2021年12月31日まで | 2021年12月31日まで | 2019年10月1日 ~2020年12月31日 |
最大控除期間 | 10年間 | 10年間 | 13年間 |
年間控除額 | 年末の住宅ローン 残高の1% (最大40万円) | 年末の住宅ローン 残高の1% (最大40万円) | 【1~10年目まで】 年末の住宅ローン残高の1% (最大40万円) 【11~13年目まで】 「建物価格×2%÷3」または 「年末のローン残高の1%」 のいずれか低い金額 |
住宅ローン控除の計算方法
控除額は年末の住宅ローン残高の1%とシンプルです。
ローン残高が減少するに従って、住宅ローン控除も毎年減っていきます。そのため、ローン残高の変遷によって住宅ローン控除の計画も立てていきましょう。
たとえば、年末時点の住宅ローン残高が3,500万円の場合は
3,500万円×1%=35万円
これが、所得税から控除できる金額となります。
また、控除可能額は上述しましたが、「年末時点のローン残高から計算した金額」と、「最大控除額である40万円」のうち少ない金額となるので、
たとえば、年末時点で5,000万円のローンが残っていた場合、計算式にあてはめると以下のように計算できます。
5,000万円×1%=50万円
となりますが、実際の控除額は40万円となります。
ここも注意しておきましょう!
シミュレーションをしてみましょう!
それでは、以下の条件でシミュレーションをしてみたいと思います。
- 年末の住宅ローン残高を、3,500万円とします。
- 所得税は、12万円とします。
- 予測される住民税23万円
- 住宅ローン控除:3,500万円×1%=35万円
となりますね。
この場合には、この場合は、まず所得税12万円の納付が不要となりますね!
そして、所得税から控除しきれなかった23万円があります。
これが、住民税から差し引かれるのです。
しかし、その上限が決まっていて課税総所得金額の7%(136,500円限度)です。
ここでは、上限の136,500円が住民税から控除されます。
よって、実際には
120,000円+136,500円=256,500円
が控除されるということになります。
やはり結構大きいですね!
確定申告における住宅ローン減税の手続き方法
初めて住宅ローン減税の適用を受けるときには、確定申告が必要です。
入居した年の翌年に以下の書類と一緒に確定申告を行います。
- 確定申告書A
- (特定増改築等の時)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅ローンの借入残高証明書
- マイナンバーカード(本人確認書類)
- 勤務先の源泉徴収票
- 土地建物の登記簿謄本
- 建築請負契約書または売買契約書のコピー
これらの書類を事前に用意しておきましょう。
また、確定申告の期間は2月16日~3月15日なのでそこも気をつけてください。
なお、還付であれば翌年1月1日から5年間の間に申請すればOKです。
2年目以降はどうするか?
初年度は、住宅ローン減税の適用のために確定申告が必要です。
会社員は、2年目以降は会社の年末調整で手続きが可能です。
複数収入があったり、自営業の人は1年目と同様に、確定申告の際に住宅ローン減税の申請を行わないといけません。
まとめ
中古マンション購入完全ガイド(19)では、住宅ローン減税制度について解説しました。
住宅ローンの金額にもよりますが、住宅ローン減税制度が利用できる間は最大限に利用しましょう。
この制度を利用するために、ペアローンなどを組むという選択肢もありです。高額な買い物をサポートするという国の制度なので、これはありがたいですね。
本記事では私の実体験も含めて書きますので、すべての記事を読み通すことで、中古マンションの購入プロセスが頭の中でしっかりとシュミレーションできるようになると思います。
ぜひ通してお読みください。