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世界遺産サヴォア邸(ル・コルビュジエ設計)を知ろう!近代建築五原則の原点

サヴォア邸(ル・コルビュジエ設計)は、ル・コルビュジエの世界遺産を構成する建物のひとつです。近代建築五原則の原点としても知られています。

本記事の内容

本記事では、ル・コルビュジエ設計のサヴォア邸(1931年)を紹介したいと思います。ル・コルビュジエ設計のサヴォア邸は、フランスのパリ郊外・ポワシーにある住宅です。ル・コルビュジエが設計した住宅の中で最も有名なものであり、またモダニズムの建築史の中でも重要な作品となっています。近代建築5原則(「ピロティ」「自由な平面」「自由な立面」「水平連続窓」「屋上庭園」)を体現した建築としても知られています。1916年に世界遺産に指定されました。

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目次

  1. 世界遺産サヴォア邸(ル・コルビュジエ設計)の概略
  2. 世界遺産サヴォア邸(ル・コルビュジエ設計)の場所
  3. 世界遺産サヴォア邸(ル・コルビュジエ設計)の書籍 紹介
  4. まとめ

1.世界遺産サヴォア邸(ル・コルビュジエ設計)の概略

サヴォア邸は、フランスのパリ郊外・ポワシーにある住宅です。1928年から1931年に建設され、構造は当時急速に普及してきた鉄筋コンクリートです。

スイス生まれでフランスで活躍したの建築家ル・コルビュジエの設計です。また、いとこであるピエール・ジャンヌレとシャルロット・ペリアンも内装や家具デザインで関わっていました。

1920年代の終わりには、ル・コルビュジエはすでに国際的に有名な建築家でした。彼の著書「建築をめざして」は複数の言語に翻訳されていました。

こうしたル・コルビュジエの仕事は、ロシア・アヴァンギャルド巻き込んで世界中に公表されていました。また、国際建築会議(CIAM)の最初のメンバーの一人でもありました。

「建築をめざして」の原著は1923年に『エスプリ・ヌーヴォー』誌に発表されたものをまとめて出版したものであり、きっとサヴォア夫妻も読んでいたと思います。

サヴォア邸はもともとサヴォア家の別荘として建てられました。第二次世界大戦後に近隣の学校に購入された後、1958年にフランスの国有物となりました。その後、紆余曲折を経て1965年にフランスの歴史的建造物に指定されました。

サヴォア夫妻は、1928年にポワシーに別荘を建てることについて、ル・コルビュジエに相談しました。候補地は、パリ郊外で樹木が茂った緑の野原であり、道路沿いの区画と隣接していました。

サヴォア夫人は、夏の別荘、車のスペース、寝室、世話人の部屋などの説明をしましたが、ル・コルビュジエは彼自身の建築美学への試みに、このプロジェクトを利用します。

そのためだけじゃないと思いますが、建築コストに関する問題も大きく出てきます。1929年2月の費用の見積もりは、50万フランの範囲でしたが、これには造園要素の費用が含まれておらず、プロジェクトの建設中に設計に変更が加えられ、最終的には90万フランになります。(ほぼ倍増です)

今なら、ちょっと考えられないですね!

sル・コルビュジエで最も有名な建物であるサヴォア邸は、国際的なモダニズム建築の普及に多大な影響を及ぼしました。

そのデザインは、彼の新しい建築美学の基本的な信条「近代建築五原則」の具体化にあります。

  1. ピロティ:建物を地面から持ち上げ、庭を下のスペースまで拡張
  2. 屋上庭園:庭とテラスとして機能する屋上を作り、建物が占めていた土地を自然のために開放
  3. 自由な平面:耐力壁がなく、機能的に必要な場所にのみ壁を自由に配置
  4. 水平連続窓:照明と換気のための長い水平窓を設置
  5. 自由なファサード:自由に設計されたファサードは、壁や窓の外板としてのみ機能し荷重を支えない
wikipedia(creative commons)

ル・コルビュジエは、太陽の向きを考慮に入れて、サヴォア邸の4つの側面すべてを注意深く設計しています。

1階に、正面玄関ホール、スロープと階段、ガレージ、運転手とメイドの部屋を配置しました。 2階には、主寝室、息子の寝室、ゲストの寝室、キッチン、サロン、外部テラスを配置します。サロンは南東向きで、テラスは東向きでした。息子の寝室は北西に面し、キッチンとサービステラスは南西に面しています。3階には、サンルームと一連の彫刻が施された空間があります。

wikipedia(creative commons)

平面計画は、黄金分割の主要な比率を使用しています。正方形を16の等しい部分に分割し、ファサードを強調するために2つの側面を拡張し、正方形に近い長方形のプランとしています。

パリ郊外にある別荘のため、当時最先端の車を念頭に置いて設計されました。車の動きが住宅の設計に応用されています。1階の入り口のガラスの湾曲は、車が曲がる時の回転円によって決定されました。

エントランスホールの4つの柱は、訪問者をスロープに導いています。このスロープは、1階のリビングエリアとサロンに続き、その後屋上テラスから2階のサンルームまで続きます。

またル・コルビュジエは、住居の生活行為(洗濯や食事など)を重要視していました。サヴォア邸では、選択はエントランスホールのシンクで行い、屋根のサンルームで干すようになっています。

ル・コルビュジエの代名詞ともいえるピロティは、家の内外で多くの機能を果たします。 平面は、正方形に近い長方形です。そのため、長手方向の立面をみると、ピロティの柱はファサードとほぼ同一面で、荷重をサポートしていますが、短手方向ではピロティの柱は後退しており、家の水平方向の浮遊性を強調するようにフローティング効果を与えています。

また、サヴォア邸は建物全体を取り巻く水平のリボンウィンドウを使用しています。ル・コルビュジエは当時の建築家が好んだ金属製の窓ではなく、しばしば木製の窓を使用することを選択しました。それは、彼がガラスの平面特性に興味を持っていたためであり、木造フレーム内のガラスの後退位置を調整することにより、ファサードをより平滑な平面として見ることができたからです。

竣工後の問題は、早期修理の必要性にありました。毎年秋に、サヴォア邸は屋根から雨水が漏れました。また、美観の問題から、本来必要であった雨水処理のダウンパイプが排除されていたので、白い表面が溢れ出る雨水による汚れ、侵食を受けやすくなりました。

また材料が構造的耐久性が低かったため、建物もひび割れによって傷つけられました。

サヴォア夫妻は1940年まで家に住み続けましたが、第二次世界大戦中にこの家を放棄しました。(たったの9年間しか住んでいないのです!)

戦争中は2回占領され、ドイツ人とアメリカ人の占領が建物に深刻な被害を与えました。

サヴォア夫妻は戦後に戻りましたが、戦前のように住むことができず、すぐに家を再び放棄します。その後、サヴィア邸は1958年にポワシー行政によって接収されました。

ポワシー行政は最初にそれを公共の青少年センターとして使用し、後に取り壊すことを検討しました。しかし、建築家からの抗議と、ル・コルビュジエ自身の介入により、家は解体を免れます。

サヴォア邸は1965年にフランスの歴史的建造物に登録された初のモダニズム建築となります。また登録建築物の設計者が存命であったのも極めて異例でした。

1985年に徹底的な修復プロセスが実施され、1997年に完成しました。

サヴォア邸は、1930年代の近代建築としてとても影響力のある建物です。

この建物は、ル・コルビュジエ自身の建築完全本シリーズ「The Complete Works」の第2巻にあります。

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また、1947年のエッセイ「The mathematics of the ideal villa and other essays(マニエリスムと近代建築―コーリン・ロウ建築論選集)」で、コーリン・ロウはサヴォア邸をパラディオ設計のロトンダ邸と比較しながら論考を加えています。

このサヴォア邸は、居住者のいかなる要件よりも、ル・コルビジェが彼の重要な「近代建築五原則」を実現したことが重要でした。

それにもかかわらず、この5原則が完全に表現されたのはこれが最後というのは皮肉です。

サヴォア邸は、ル・コルビュジエの設計アプローチの1つのフェーズの終わりを示しており、つまり「白の時代」の最後の建築とも言えます。

2.世界遺産サヴォア邸(ル・コルビュジエ設計)の場所

サヴォア邸への行き方

パリ中心部から40分程度なので、結構気軽に行ける距離です。パリに行った際には、是非とも行ってみましょう。

3.世界遺産サヴォア邸(ル・コルビュジエ設計)の書籍 紹介

サヴォア邸 Le Corbusier Villa Savoye1928-31―世界現代住宅全集05(Residential Masterpieces)

ル・コルビジェ著、写真は二川幸夫です。長年建築写真を撮り続けた傑作写真と、ル・コルビジェのサヴォア邸の考え方を知ることができる貴重な一冊です。

4.まとめ

世界遺産サヴォア邸(ル・コルビュジエ設計)は、近代建築を語る上で重要な建築の一つです。多くの資料が出ているので、建築を学ぶ人であれば図面を読み込んでから行くことをお勧めします。自分が住人(特にサヴァア家の子供)になったつもりで、お手伝いさん、車の運転手、両親、そして自分の部屋と考えてみると面白いと思います。

注意説明 公共建築以外の場所の特定は行っていません。個人の所有物である住宅は、場所の特定をしないように配慮しております。ご了承くださいませ。

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