近代建築を知る上で最も引用されることが多い「ル・コルビュジエ」。ここでは、「ル・コルビュジエ」を知るために、コルビュジエが執筆した必ず読むべき必須本19選をご紹介します。
どんな建築の本を読んでも、「ル・コルビュジエ」の名前を見ないことはないですね。日本や海外問わず、その影響は計り知れません。
そして、学生も実務家も昔読んだ本を読み直してみると新しい発見があると思います。
重要なのは原典にあたることです。
誰かが書いたル・コルビュジエを鵜呑みにするのではなく、自分自身で「近代建築」と「ル・コルビュジエ」を解釈するために、そして知らなかったル・コルビュジエを知るためにも、是非ともル・コルビュジエ自身が執筆した原典に当たってみましょう!
そして、建築知識をアップデートしましょう!
本記事の内容
本記事では、ここでは、「建築家ル・コルビュジエ」を知るために、ル・コルビュジエ自身が執筆した必ず読むべき【必須本19選】をご紹介します。巨匠にして、著書も多作です。どういう時間の使い方だったのでしょう?本当にすごいです。
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目次
- 東方への旅(ル・コルビュジエ 著)
- 三つの人間機構(ル・コルビュジエ 著)
- 輝ける都市(ル・コルビュジエ 著)
- 輝く都市(ル・コルビュジエ 著)
- 伽藍が白かったとき(ル・コルビュジエ 著)
- 今日の装飾芸術(ル・コルビュジエ 著)
- 建築をめざして(ル・コルビュジエ 著)
- エスプリ・ヌーヴォー―近代建築名鑑(ル・コルビュジエ 著)
- 建築十字軍―アカデミーの黄昏(ル・コルビュジエ 著)
- ムンダネウム(ル・コルビュジエ 著)
- ユルバニスム(ル・コルビュジエ 著)
- アテネ憲章(ル・コルビュジエ 著)
- 住宅と宮殿(ル・コルビュジエ 著)
- マルセイユのユニテ・ダビタシオン(ル・コルビュジエ 著)
- プレシジョン―新世界を拓く 建築と都市計画 (上) (下) (ル・コルビュジエ 著)
- 人間の家(ル・コルビュジエ 著)
- 小さな家―1923(ル・コルビュジエ 著)
- モデュロール 1 /モデュロール2 (ル・コルビュジエ 著)
- パリの運命(ル・コルビュジエ 著)
東方への旅(ル・コルビュジエ 著)
ル・コルビュジエは、1911年に当時の東方(つまりオリエント)を含む旅を行なっています。
つまりギリシャ、イタリア、東欧、トルコです。
「東方への旅」は、その旅の記録が書籍になったものです。
この書籍のスケッチを見ると、ギリシャのパルテノン神殿などのスケッチ見て取れます。私たちの同じように、新鮮な視線で見ていた若きル・コルビュジエの視線が感じられます。
なんか、建築を目指していた頃の若い頃の新鮮な気持ちになるようです。
若きC.E.ジャンヌレ(コルビュジエの本名)は1911年春友人とオリエントへの旅を思い立ち、半年余東欧からトルコ、ギリシア他を歴訪、イタリアに至る。光の下での形が生み出す素晴らしい芸術に魅せられて残した数々の印象記。
三つの人間機構(ル・コルビュジエ 著)
これは、あまり読んだことのある人が少ない著作ではないでしょうか?
ル・コルビュジエは、インドの都市計画都市であるチャンディガールの都市計画の設計をしています。
この本は、そのチャンディガールで1979年に出版されたものです。ル・コルビュジエの都市計画の思想について知ることのできる貴重な書です。
コルビュジエの都市計画の思想が三つの具体的な土地区分の人間機構として示されている、数多いコルビュジエの著作でも都市計画の具体的提案として理論から応用面について記されている。
輝ける都市(ル・コルビュジエ 著)
1935年にル・コルビュジエがはじめて著したもっとも有名な都市論です。
『輝ける都市(La Ville Radieuse)』
この貴重な邦訳ですね。説明は要らないと思います。
研究者にとっても貴重な本ではないかと思います。なくならないうちにどうぞ!
都市の姿が大きく変わろうとする時代、若き建築家にしてアーティストだったコルビュジエは、何を考え、主張したのか……。 コルビュジエ本人が執筆・デザインをし、その後の《世界》のあり方を一変させた1935年の代表的著作、ついに邦訳なる。 1935年、ル・コルビュジエがはじめて著した都市論『輝ける都市(La Ville Radieuse)』。 その後のコルビュジエの多岐にわたる活動のコアとなる最重要テキストでありながら、 なぜかこれまで日本に紹介されることのなかった彼の代表的著作です。 豊富な図版のコラージュと斬新なデザインも、コルビュジエ自身の手によるもの。 本書は彼のモダニズム・デザイン思想を損なうことなく日本語に置き換え、その思想のすべてを余すことなく伝えます。
輝く都市(ル・コルビュジエ 著)
こちらは、上記の本『輝ける都市(La Ville Radieuse)』とは違います。
Manière de penser l’urbanisme(都市計画の思考)を、邦題として『輝く都市』坂倉準三(訳)としています。
なので、お気をつけくださいね。
内容はまさに、ル・コルビュジエの都市計画の思考です。
1947年当時の都市計画の考え方の重要な点はなんでしょう?
それは、建築や都市は「人間が中心」に作られるべきだという今に通じる思考です。
また、産業革命により人間が置き換え可能なものとして認識され、機械に従属するような思考を排除する新しい都市理論でした。
やっぱり今にも通じる考え方ですね。
「輝く都市」はル・コルビュジエの都市計画案のなかでも広く知られたものであり、20世紀の都市計画のあり方に最も影響を与えてきた都市像のひとつである。
本書はその設計理念を語るものであり、都市に関心をもつ者にとって必読の書である。
伽藍が白かったとき(ル・コルビュジエ 著)
初のアメリカ旅行のル・コルビュジエの驚きが見て取れます。
上記の「東方への旅」と一緒の読んでみると面白いです!
1935年、初のアメリカ旅行で、摩天楼に「美しい破局」を見たル・コルビュジエ(1887‐1965)。機械文明とTime is money!の国で彼は西欧を省みる―中世伽藍が新しかった時、人々の気迫と手仕事がなした偉業を。第2次大戦前に出た本書は、新しい文明と都市計画を模索し、建築という時代表現に自然と人間を呼び返す。生誕120年、新鮮な旅人の、甦る名著。
今日の装飾芸術(ル・コルビュジエ 著)
残念ながら絶版です。
状態の良いものを見つけたら是非手に入れておきましょう。
ル・コルビュジェの思想が建築家前川国男の翻訳によって日本に紹介された貴重な書籍です。
装飾芸術のあり方は、近代建築の中でどのように位置付けるべきかについて、ル・コルビュジエの思想が見えてきます。
建築をめざして(ル・コルビュジエ 著)
これは、建築を目指すすべての人におすすめです。
1923年にル・コルビュジエによって書かれて、世界中でベストセラーです。
「住宅は住むための機械」のフレーズはあまりにも有名です。
なんと100年も前に書かれたのに今も通用する内容なので、やはり人の思いは変わらないのだなと思います。
都市と建築に新しい提案をしたい全てに人に再読する価値があります。
読み継がれる建築の名著。「住宅は住むための機械だ」
このあまりにも有名な言葉を含む本書は、ル・コルビュジエの都市・建築に対する新時代の到来を告げる宣言であり、その問題提起は都市・建築を学ぶ人々にとって今なお、刺激的で示唆的である。
エスプリ・ヌーヴォー―近代建築名鑑(ル・コルビュジエ 著)
エスプリ・ヌーヴォーは雑誌の名前であり、またエスプリ・ヌーヴォー館という1925年パリ装飾芸術国際博覧会での出品物の名前でもあります。
こちらは、これからパリで近代建築運動を始めるル・コルビュジエの思想が初めてまとまった書籍と言えると思います。
著者は、1925年パリでの装飾芸術国際博覧会に参画し、一つの展示館を出品した。本書はそれを記念して、後に出版されたもので、往時の建築と芸術における新精神を掲げた示威運動を目的にまとめられた古典である。
建築十字軍―アカデミーの黄昏(ル・コルビュジエ 著)
ル・コルビュジエは、正式な建築教育を受けていません。
そのため、当時の建築アカデミーであったフランスの「エコール・デ・ボザール」は、まさに倒すべき敵であったと言えるでしょう。
やはり倒すべき対象が明確だと燃えますね。
アカデミーへの宣戦布告。モダニズムの草創期、ル・コルビュジエはいかに闘ったか。最大の敵ボザールとの直接対決のドキュメント。新しい時代を切り開くために、真の建築と都市の実現のために、十字軍の結成を呼びかける。30年ぶりの改訳・復刊。
ムンダネウム(ル・コルビュジエ 著)
ムンダネウムは幻の書籍と言われていましたが、こちらもなんと邦訳があります。
ポール・オトレとの共著です。
ポール・オトレはジュネーヴに世界文化センターとして、「ムンダネウム」の設立を構想して、設計を1929年にル・コルビュジエに依頼しました。
ル・コルビュジエは、ジュネーヴの斜面地にユートピア都市を計画します。
そこには、世界美術館、世界大学、世界図書館があり、ル・コルビュジエは黄金比に基づいた都市計画案を提案します。
世界美術館は螺旋状の動線が配置されていて面白いですね。
ムンダネウム計画は実現に至らなかった夢の計画です。
近代建築の巨匠ル・コルビュジェが設計した文化都市「ムンダネウム」。その中心には巨大美術館が計画されていた。幻のプロジェクトの真実が、いま明かされる。
ユルバニスム(ル・コルビュジエ 著)
建築・都市の分野でのル・コルビュジエの有名な著作の一つです。
都市環境学、現象学と連携して、歴史、地理、社会、経済、法律、芸術等多分野を包括する思想です。
ル・コルビュジエの都市計画理念の原点ともいえるものなので、もはや古典としてみておく必要があります。
レスプリヌーボー叢書の一巻。
ル・コルビュジエの都市計画理念の原点であり、本書で展開される思想は年月を経た今日も依然として有効であり続けている。
アテネ憲章(ル・コルビュジエ 著)
アテネ憲章とは、言わずもがな1933年のCIAMで採択された都市計画及び建築に関する理念のことです。
今流行のSDGsのように、多様性を包摂する社会をめざしている点で、現代的な視点を強く持っています。
住宅と宮殿(ル・コルビュジエ 著)
ここでみて欲しいのはやはり第二部です。
ル・コルビュジエ自身が、スイスのジュネーブにおける国連本部のコンペに提示した設計案を解説しています。
ル・コルビュジエ案は不採用でしたが、反モダニズム建築勢力(いわゆるアカデミー)への反論がなかなか面白いです。
ル・コルビュジエは「闘う建築家」で、こういう体制への反逆精神は、私は結構好きですね。
1927年、諸国民の殿堂であるパレ・デ・ナシオン(国際連盟本部)の国際設計競技が行われた。本書は、その際のル・コルビュジエの計画案の顛末を詳細に記録しているだけでなく、反モダニズム建築勢力に対する反論の書であり、「生まれるべくして生まれる建築について」詳述された建築書である。
マルセイユのユニテ・ダビタシオン(ル・コルビュジエ 著)
これはル・コルビュジエの書籍でも貴重です。原典すら幻と言われていたので、日本語で読めるなんて嬉しいですね。
「ユニテ・ダビタシオン」について、ル・コルビュジエ自身が解説しています。
ちなみに、「ユニテ・ダビタシオン」は吉阪隆正がル・コルビュジエ事務所にいるときに担当していた物件です。
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20世紀最大の建築家ル・コルビュジエは、フランスのマルセイユに「ユニテ・ダビタシオン(住居単位)」という名の巨大集合住宅を設計した。本書は、ル・コルビュジエが、最も重要なこの自作について、基本理念とプランを解説したものである。長らく原書でも読めなかった幻の著作に、詳細な解説を付した、文庫オリジナルの新訳。図版多数。
プレシジョン―新世界を拓く 建築と都市計画 (上) (下) (ル・コルビュジエ 著)
「プレシジョン―新世界を拓く 建築と都市計画」は、是非とも「建築をめざして」と是非(絶対!)一緒に読んでくださいませ。「プレシジョン」は「建築をめざして」の後編と言われています。
具体的な建築の構成法について述べていて、「建築をめざして」を読んでからこちらを読むと、すんなり入ってくると思います。
本書は、南米ブエノスアイレスでの講演10回分を収録したものである。同著者の前著「建築をめざして」に対して、具体的な建築の構成法について述べた書物であり、それと好一対を成す。旧訳「闡明」の新訳版。
人間の家(ル・コルビュジエ 著)
ル・コルビュジエとの画家A.オザンファンは「装飾に堕した」とキュビスムを批判して、造形について「機械」にそのイメージを求めていきます。
そこで提示したのが、明確・簡潔な抽象造形を目ざす〈ピュリスムpurisme〉です。
こうした、〈エスプリ・ヌーボー〉グループの建築・都市観をみることができます。
この本には、ル・コルビュジエと〈エスプリ・ヌーボー〉グループの年来の建築・都市観が凝縮されている。数多い著作の中でも、彼の思想を最も鮮明に浮彫りにした、著者自身によるル・コルビュジエ入門書。
小さな家―1923(ル・コルビュジエ 著)
ル・コルビュジエが、スイスのレマン湖畔に建てた両親のための家です。父親が亡くなってから、ル・コルビュジエの母が亡くなるまで住んでいたので、「母の家」とも呼ばれます。
文字通り狭小住宅ですが、この小さな家にル・コルビュジエのすべてがあるような気がします。
最初に建てた住宅に、すべてがある!
土地の選び方、デッサン、土地の読み取り、暮らし方など実務の話も面白いです。
コルビュジエが、まだ若かりし頃、両親のために作った家を、写真やデッサン画を用いて説明してくれます。 わずか60㎡の本当に小さな家ですが、そこには素敵なアイディア・プランが詰め込まれています。 時代をこえて、人間の奥深くに眠ってる感性を呼び起こしてくれるような、ホッとする内容です。 きっとあなたにとっても、大切な一冊になるのではないでしょうか?
モデュロール 1 /モデュロール2 (ル・コルビュジエ 著)
ル・コルビュジエのモデュロールは、とても有名です。
この本は、もちろんモデュロールの話なのですが、ル・コルビュジエの生い立ちの話などもあり面白いです。
あと、この本は「吉阪隆正」が翻訳です。それもなんかおすすめしたくなる点です。
コルビュジエのモデュロール(黄金尺)は、「人間の建物」の尺度の基準として、彼が一生をかけて作り出したもので、本書は、一種の自叙伝といってよく、生い立ちや活動、迷いや確信をスリリングに綴った興味あふれる本である。
パリの運命
戦争中から戦後におけるル・コルビュジエの思想を読み解くのに必須の書です。
都市環境や人間模様から、都市の危機的な状況が明らかになります。
ル・コルビュジエ自身の都市計画思想の入門書ともいえるので、ル・コルビュジエの初期の建築や都市のアイデアを読み取ったりすることもできます。
読みやすさも含めておすすめです。
ル・コルビュジエがパリの運命を託したのは、人と生が輝く都市であり、すまいだった。―ル・コルビュジエの“輝く都市”の入門書にしてその核心。
最後に
如何でしたか?今回は、「ル・コルビュジエ」に関して、基本書籍から研究者が読むような書籍まで選びました。やはり原点は良いですね。かなりの著作量です。原典を読むと、自分なりの解釈ができるようになります。
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