中古マンションの売買における、手付金とその相場を知りたい人向け
- 中古マンションの解約手付金ってなんですか?
- 売買契約したあとに解約した場合の支払金額について教えて下さい。
先に回答を示しておきます!
ずばり!
- 解約手付金とは、売買契約成立後に解除することができる権利を確保するための手付金です。 この場合は、契約の履行に着手する前までが解約の期限ということが、契約書に記載されるのが通常ですが、個人間取引ではさらに期日も指定されます。
- もし解除する場合は、買主が解除した場合は手付金を放棄します。手付流しといいます。売主が解除した場合は、手付金の2倍の額を返却します。手付倍返しといいます。
目次
解約手付金とは何ですか?
まず、手付金の種類を見てみましょう!
手付金には、以下の3種類があります。
- 証約手付
- 解約手付
- 違約手付
それでは、それぞれ簡単に見ていきますね。
証約手付とは、不動産売買が成立したことを証明する目的で受け渡す手付のことです。ここには、解約条項はありません。
解約手付とは、契約の解約権を保証する手付のことをいいます。もし解約となった場合に、買主と売り主は予め指定された金額を払わないといけません。
違約手付とは、買主、売主のどちらかに契約違反(違約)があった場合に、違約金を保証する手付です。違約金についても予め指定されています。
こうした手付金は、契約を通常に履行できなかった場合の保証となるものです。
そのため、手付金は売買契約を締結するタイミングで支払います。また、買主側が急にローン契約が結べなかったなどリスクだけでなく、売主が不動産業者だった場合も倒産リスクなどもあるのです。
手付金は、原則契約日に現金での支払いになります。
解約した場合に支払う金額とは?
解約手付によって、売買契約後の解約が保証されています。しかし、当然制約もあります。
不動産売買などでは金額も大きく、いったん契約を締結すると、簡単には一方の都合で自由に解除することはできません。契約の解除には、主に以下のようなものがあります。
手付解除ができるのは、「相手方が履行に着手するまで」とされています。
解除できる場合は、渡した手付けを倍返し(売り手の場合)する、または放棄する(買い手の場合)ことにより契約を解除することが可能です。
つまり、以下のとおりです。
- 5000万円の物件で、手付金が10%とすると、手付金500万円 =5000万円 ✕ 10%
- 売り手の場合は、500万円 ✕ 2倍 を買い手に返却する
- 買い手の場合は、500万円を放棄する
ことで、解除が可能です。
しかし、既に相手方が契約に定められた事柄を実行している場合には、手付解除ができないのです。ここが肝ですね。
この手付解除では、「相手方が契約の履行に着手しているか?」でよくトラブルになります。よって、手付解除ができる期間を定めらえるのです。
こうして考えると、手付の金額は重要です。
一般的な相場は不動産価格の5~10%ですが、万が一のことを考えると、やはり5%に近いほうが安心ですね。
ここは、不動産会社や売り手との信頼関係の問題ですので、しっかりと確認しておかないといけないですし、自分自身も信頼に足る行動をする必要があります。
契約書にはどのように記載されているのか?
不動産の売買契約は、売主・買主が書類に署名押印をおこないます。
この契約時には、不動産業者が一行一行しっかりと確認をしてくれますが、その場で「それでいいのか?」という判断を下し、いやおかしいのでは?などと問いただすことはなかなかできないです。
そのため、予め、肝となる文言だけは確認しておいたほうが良いですね。
ここでは、手付解除の条項だけ見ておきます。
手付解除の条項(第15条(手付解除)
第15条が手付解除の条項です。
不動産取引が、個人間取引と売り手が不動産業者なのかによって契約書の内容が変わってきます。
例:個人間売買の場合
1.売主および買主は、本契約を表記手付解除期日までであれば、その相手方の本契約の履行の着手の有無にかかわらず、互いにその相手方に書面により通知して、本契約を解除することができます。
2.売主が前項により本契約を解除するときは、売主は、買主に対し、手付金等受領済みの金員を無利息にて返還し、かつ手付金と同額の金員を支払わなければなりません。買主が前項により本契約を解除するときは、買主は、売主に対し、支払済の手付金を放棄します。
例:売主が不動産業者の場合
売主および買主は、その相手方が本契約の履行に着手するまでは、互いに書面により通知し、買主は、売主に対し、手付金を放棄して、売主は、買主に対し、手付金等受領済みの金員を無利息にて返還し、かつ手付金と同額の金員を買主に支払うことにより、本契約を解除することができます。
上記をしっかりと読んでくださいね。
この条項によると、売買契約における手付金が、「解約手付」であることがわかります。
どうでしょう?
上記の個人間の売買をみると、不動産売買契約書に記載された手付解除期日までであれば、売主は手付金の倍額を買主に支払うこと、また買主は手付金を放棄することで売買契約を解除できるとしています。
ここで重要なのは第1項ですね!
「その相手方の本契約の履行の着手の有無にかかわらず」
とありますね。履行の着手の有無に限らずに解除できるのです。
それでは、個人と不動産業者の場合はどうでしょう?
売主が不動産業者の場合は、不動産売買契約書には手付解除期日が明記されないのです。
これは、不動産業者よりも個人が保護されることが重要なので、解約ができる期日は明記されません。
しかし、「履行の着手」という期日が定められます。
履行の着手とは?
「契約の履行の着手」とは、「契約によって負担した債務の履行行為の一部を行い、それが外部から見てわかるもの」のことです。
具体的には以下のとおりです。
買主の「履行の着手」
- 実際に代金の支払い(内金・中間金などを含む)が行われたとき(銀行に振り込まれました!消臭書が発行されましたなど)
- 売買代金の準備ができて、売主様への履行の催告が行われたとき(伝達を証明できたほうが良いので、不動産業者を通して催告を行うのが良いと思います)
売主による「履行の着手」
- 移転登記をする準備を完了し、司法書士に登記手続きの依頼をしたとき
ですね。
しっかりと第三者に対して表明がなされないといけません。
メールの記載などでもいいですが、それをしっかりと受領したということもわかることも重要ですね。
詳しくは、しっかりと不動産業者にも確認をしておきましょう!
まとめ
この記事では、中古マンションの解約手付金について考えました。
住宅購入において、売買契約はもっとも重要な段階の一つです。ここを超えたら、双方ともに住宅の売買が成立したものと思います。
しかし、その後に何が起こるかわかりません。
もしかしたら、大きな事故が起きたり病気が発覚したりして、どうしても住宅ローンを組めない状況になりかもしれません。
なんといっても数千万円という借金を追うのですから、当然こうした万が一のこともしっかりと知っておかないといけません。
それでは、まとめます。
- 中古マンションの解約手付金ってなんですか?
- 売買契約したあとに解約した場合の支払金額について教えて下さい。
回答です。
ずばり!
- 解約手付金とは、売買契約成立後に解除することができる権利を確保するための手付金です。 この場合は、契約の履行に着手する前までが解約の期限ということが、契約書に記載されるのが通常ですが、個人間取引ではさらに期日も指定されます。
- もし解除する場合は、買主が解除した場合は手付金を放棄します。手付流しといいます。売主が解除した場合は、手付金の2倍の額を返却します。手付倍返しといいます。