本記事の内容
本記事では、中古マンションを購入したい人向けに、資金計画から購入までのすべての流れについて把握することで、より良い物件を適正価格で、納得して購入する方法について解説したいとおもいます。
ーーー題して、『中古マンション購入完全ガイド』です。ーーー
中古マンション購入完全ガイド(6)では、『住宅ローン計画』について考えてみたいと思います。住宅ローンを組まなくて良いならばそれに越したことはないのですが、マンションを購入する際に住宅ローンを組まないの人はかなり少数派と思います。ここでは、住宅ローン計画について徹底的に考えてみたいと思います。
中古マンション購入完全ガイド
- (1)購入の流れ・全体像を把握しよう
- (2)購入時の諸費用のすべてを知ろう
- (3)購入相場を見極める方法
- (4)購入のための資金計画をしよう
- (5)購入資金1000万円を貯める方法
- (6)住宅ローンの計画を立てよう ←今回はココ
- (7)銀行の住宅ローン7選 を徹底比較します
- (8)フラット35 を徹底比較します
- (9)中古マンションの<物件探し>の方法
- (10)おすすめのデザインリフォーム済マンション販売会社
- (11)中古マンションの資産価値チェックを必ずしよう
- (12)物件の内覧・内見ポイントを教えます(チェックリストあり)
- (13)中古投資マンションの選び方
- (14)災害に強いマンションの選び方
- (15)地震・火災保険の選び方
- (16)火災保険を見積比較でシミュレーションしよう
- (17)契約・決済の手順をまとめます
- (18)マンション購入後の税金について解説します
- (19)住宅ローン減税制度を利用しよう
- (20)引っ越しに役立つタスクリスト・備忘録一覧(チェックリストあり)
- (21)引越し一括見積りで引越し料金を半額にするトーク術
- (22)購入後に資産価値を維持するマンション・メンテナンスの方法
目次
- 住宅ローンを組むのに適切な額はいくらですか?
- 住宅ローンを組むなら、どこを選ぶべき? 銀行かフラット35か?
- 簡単に、主要な銀行の住宅ローンの金利を比較してみます
- 簡単に、フラット35の金利を見てみます
- 簡単に、「銀行ローン」と「フラット35」を比較してみます
- まとめ
住宅ローンの適切な額は?
住宅ローンを組むときに重要なのことは、「いくら借りるのが適切なのか?」ですよね。
ここは、本当に結構悩むポイントです。
「いくらまで借りられるのか」と「いくらなら無理がなく返せる額なのか」を履き違えないことが重要ポイントです。
この記事でもっとも重要としている点は、とにかく「無理をしない」という点です。
なんといっても最長で35年という長期の返済になるので、これからの人生で何があるかわかりません。そうした今後のことをしっかりと考慮しておくことが重要です。
めいいっぱい借りると、当然ながら返すのにかなり苦労します。しかし、借入額が少ないとほしい家を手に入れられません。まさに、ここの中間点を探す必要がありますね。
住宅ローンでよく使う指標としては、「年収の何倍なのか?」で借入額を算定するものがあります。
住宅金融支援機構の調査によると、住宅購入に関わる総諸用価格の全国平均は、年収の7倍ほどとなっています。
たとえば、年収が500万円の場合は、3500万円が住宅の総取得価格であるということです。
総取得価格(住宅価格+諸費用もろもろ)は新築マンションならだいたい年収の平均7倍程度、中古マンションなら6倍程度が多い!
住宅金融支援機構が2018年度に発表したフラット35利用者調査をまとめてみました。下記のようになりました。
ここに、総取得価格は、諸費用一式を含んでいるものと考えて、それを6%として想定住宅価格を算定します。
住宅の種類 | 総取得価格 | 想定住宅価格 | 世帯年収 | 自己資金(割合) | 年収倍率 |
---|---|---|---|---|---|
新築マンション | 4,437万円 | 4170万円 | 767万円 | 714万円(16%) | 6.9倍 |
中古マンション | 2,982万円 | 2803万円 | 585万円 | 310万円(10%) | 5.7倍 |
こんな感じですね。
つまり新築マンションを買う人は年収の7倍程度、中古マンションを買う人は年収6倍と考えておけば間違いないです。
上記から、自己資金割合は8%~19%ですね。これはもちろん住宅の頭金を含んでいます。
自己資金と住宅ローン
ローンを借りる金額は、年収の5倍程度が比較的余裕を持って返せる金額ということになっています。
本当でしょうか?
上記の新築マンションと中古マンションで比較してみます。
中古マンションの総取得価格:3000万円とします。そうすると、10%を自己資金とすると300万円です。
そうすると、年収500万円(年収の6倍とする)となるので、適切な借入金額は2500万円となります。
200万円たりませんね。
自己資金は、500万円が適切ということです。
住宅ローン借入額の上限は金融機関によって異なります。銀行も「フラット35」も審査をしますが、8,000万円が上限であっても、こんなに借りてはいけません!
上記の割合(年収の5倍)を目安にしてください。
これは、間違いない試算となります。
- 中古マンションを選ぶ時、年収の6倍をすべての諸用価格を含む資金としよう。
- 住宅ローンは、年収の5倍までを上限としよう。
住宅ローンを組むなら、どこを選ぶ? 「銀行」か「フラット35」か?
フラット35という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
テレビの宣伝でも流れていますね。
ちなみにフラット35は実は銀行からも申請が可能な住宅ローンなのです。
しかし、通常の銀行住宅ローンとは異なったことが結構ありますので、詳しく解説しておこうと思います。
フラット35は全期間固定金利のみ/銀行は固定金利や変動金利を選べる
フラット35の特徴は、なんといっても全期間固定金利型の住宅ローンということです。
一方で銀行ローンは、固定金利や変動金利など借りる側が金利タイプを選ぶことができます。
最適な金利については、まず固定金利や変動金利の違いを知ることが肝心です。
とは言っても難しいことではありません。
全期間固定金利型の場合は、借り入れ時からずっと返済額が変わりません。
そのため、フラット35の金利は通常の変動金利よりかなり高めに設定されています。
特に今はかなり高く感じることが多いかと思います。
また、フラット35は金利上昇によるリスクがないというメリットがありますが、世の中の金利水準が下がったとき(つまり現在のゼロ金利政策の時代ですが)、ここでも返済額は減らないということはかなりデメリットです。
その逆が、銀行ローンですね。
銀行ローンの場合は、変動金利を選んだ場合は借り入れ時から定期的に金利が見直されて、返済額が変わっていきます。そのため金利は、現在はフラット35の金利よりもかなり低くに設定されています。
銀行ローンの場合は金利上昇によるリスクがある一方で、世の中の金利水準が下がったとき(つまり現在のゼロ金利政策の時代ですが)は、返済額が減ります。
この金利の見極めが難しいですが、ここだけは自分で決めないといけません。
金利がどうなるかは誰にもわかりません。それは35年という長期のローンを組んだ場合には特に言えます。
そのため重要な点は、無理なく返済できる金額としていることしかそれに対する対処の仕方はないのです。
ちなみにここ10年ほどは、金利がかなり低かったのであきらかに、銀行住宅ローンが有利でした。
一方で、現在固定金利にするという手もかなり良い手だとも思います。それは、ゼロ金利政策のおかげで、固定金利もかなり低い水準にあるからです。
フラット35では、保証料が不要となります
多くの銀行の住宅ローンには保証料が必要となります。
フラット35は保証料と保証人が不要であるため、こうした債務保証に関する費用が必要ありません。ここはかなりのメリットです。
フラット35の場合は手数料がその分高くなり、もろもろ合わせると銀行ローンの保証料分とかわらないこともあります。
しかし、ネット系の銀行には保証料が必要ないものもあります。
重要な点は、金利だけではなく手数料などを含めた総ての費用から換算するのが良いと思います。
審査基準が、フラット35と銀行ローンでは異なります
審査基準が、フラット35と銀行ローンでは大きく異なります。
銀行ローンは、年収基準はもちろんですが、収入が継続的に入ってくるのかという安定度が重要となります。そういう時は、大きな企業はとても有利なのです。
ということは、転職して会社が変わったばかりだと結構厳しいです。審査を依頼するときに、1年分の給与明細があり、また源泉徴収票などが取れることが重要です。
一方で、フラット35はローンの審査時に際、勤続年数や勤務先などは問われません。また勤務形態(正社員か契約社員かなど)も問われないので、転職したばかりの人でも借り入れしやすいのです。
ちなみにフラット35の場合は、「年間合計返済額」という基準を設けています。これは、年収に占める返済額の割合です。年収400万円未満なら年間返済額が30%以下、400万円以上なら年間返済額が35%以下という基準があります。
フラット35では、建物の基準が結構厳しい
また、銀行ローンとフラット35では、ローンの対象とする建物の基準が異なります。
たとえば、フラット35は、住宅金融支援機構の技術基準を満たしていることが条件となり、また質の高い住宅に住んでもらうことを推奨しているので、一戸建ての場合で70平米以上、マンションなどは30平米以上でないといけません。
また、重要な点は中古住宅では新耐震基準が適用されたものであるかどうかです。
あまりに古い中古マンションが対象物件となるときは、フラット35では借入できません。
銀行ローンは、フラット35に比べてそうした基準は緩いです。
基本的には建築基準法に基づいて建築されており、大きな瑕疵がなければOKです。
フラット35では、団体信用生命保険加入は任意
銀行ローンでは団体信用生命保険への加入が必須です。また加入前には、健康状態の告知が必要となります。
一方で、フラット35は団体信用生命保険への加入は任意です。しかし、前の記事でも書きましたが、特に家族がいる場合は、団体信用生命保険に加入しておくことをおすすめします。
- フラット35は、正社員じゃなくても住宅ローンが組めるということが銀行ローンとの一番大きな違いです。
- フラット35は全期間固定金利のみですが、銀行は固定金利や変動金利を選べます。一方で審査基準が、フラット35と銀行ローンでは異なり、フラット35では、建物の基準が結構厳しいことで知られています。
簡単に、主要な銀行の住宅ローンの金利を比較してみます
先ほど書きましたが、銀行の住宅ローン商品には、変動金利と固定金利があります。全期間固定金利の商品もありますが、ここでは代表的な商品である10年固定金利の商品を見てみたいと思います。
① 変動金利
② 10年固定金利
ここでは、上述したものより少し借り入れを多くして、3,000万円の住宅ローンを組んで35年間で返済プランを考えてみましょう。
また、このプランでは、将来の物価の上昇があることを見込んで(日銀もコロナがなければ物価上昇を行おうとしていましたし)、変動金利は5年ごとに0.3%ずつ、10年固定金利は10年ごとに0.5%あがると想定しています。
これは、実際には金利上昇を見込んでいるので、現実的にはこれが外れればラッキー!ということで、たぶんこれ以上の急激な金利上昇はないと思います。
- 融資額:3,000万円
- 返済方法:35年間元利均等返済
- 2019年5月の金利
銀行名 | 金利タイプ | 金利(年利) | 毎月の返済額 | 返済総額 |
みずほ銀行 | 変動 | 0.625%(1年目) 2.425%(35年目) | 79,544円 92,576円 | 約3674万円 |
みずほ銀行 | 固定10年 | 0.750%(1-10年目) 2.250%(30-35年目) | 81,235円 90,572円 | 約3626万円 |
横浜銀行 | 変動 | 0.470%(1年目) 2.270%(35年目) | 77,479円 90,253円 | 約3580万円 |
横浜銀行 | 固定10年 | 0.745%(1-10年目) 2.245%(30-35年目) | 81,169円 90,498円 | 約3628万円 |
イオン銀行 | 変動 | 0.520%(1年目) 2.320%(35年目) | 78,141円 91,010円 | 約3611万円 |
イオン銀行 | 固定10年 | 0.740%(1-10年目) 2.240%(30-35年目) | 81,099円 90,424円 | 約3620万円 |
楽天銀行 | 変動 | 0.527%(1年目) 2.327%(35年目) | 78,234円 91,103円 | 約3615万円 |
楽天銀行 | 固定10年 | 1.020%(1-10年目) 2.520%(30-35年目) | 84,966円 94,636円 | 約3790万円 |
フラット35 | 全期間固定 | 1.310%(1-35年目) として試算 | 89,489円 (35年間均一) | 約3741万円 |
どうでしょう?
やはり、すこしの金利の差が、35年の換算だと100万単位で効いてきますね。基本的には、この試算ではできるだけ金利の低いものが良いですが、重要なのは手数料もしっかりと換算することです。
意外と、この手数料が厄介なのです。
簡単に、フラット35の金利を見てみます
全期間固定の住宅ローンである「フラット35」は住宅金融支援機構がおこなっているもので、銀行なども経由して借りることができます。
さきほど述べたように、銀行の金融商品より審査が通りやすいので、個人事業主や契約社員でも借りやすいものです。
今後の記事で説明しますが、「フラット35」と「フラット35S」が基本であり、そのほかにも「フラット35リノベ」、「フラット35(保証型)」などがあります。
「フラット35S」は「フラット35」よりも、対象とする建物の審査基準が厳しいものです。
ここでは、金利を見ておきましょう。
以下を見て分かるように、金利では、フラット35Sには、当初10年間の金利が優遇される(金利Aプラン)と。5年間金利が引き下げられる(金利Bプラン)があります。住宅の性能によって、利用できるプランが異なってきます。
商品名 (返済期間) | 金利 |
フラット35 | 1.31% |
フラット35S(A) (長期優良住宅) | 1.06% (1〜10年) 1.31% (11〜35年) |
当初の金利は高いですが、どうでしょう?物価の変動によって結構大きく変わってきますね。
以下に、毎月の返済額を試算してみます。試算では、通常のフラット35として、金利が変わらないものと仮定しています。
金融商品 | 金利タイプ | 金利(年利) | 毎月の返済額 | 返済総額 |
フラット35 | 全期間固定 | 1.310%(1-35年目) として試算 | 89,489円 (35年間均一) | 約3741万円 |
銀行ローンとフラット35を比較します。
銀行ローンでいちばん返済総額が安いのは、横浜銀行でした。
以下のとおりです。
銀行名 | 金利タイプ | 金利(年利) | 毎月の返済額 | 返済総額 |
横浜銀行 | 変動 | 0.470%(1年目) 2.270%(35年目) | 77,479円 90,253円 | 約3580万円 |
フラット35は以下のとおりです。
銀行名 | 金利タイプ | 金利(年利) | 毎月の返済額 | 返済総額 |
フラット35 | 全期間固定 | 1.310%(1-35年目) として試算 | 89,489円 (35年間均一) | 約3741万円 |
3741万円ー3580万円=161万円の差額がありますね。これを35年で割ると、4.6万円となります。
変動金利の勝ちでした!
もちろん、これはシミュレーションの前提条件によるわけです。
この前提条件では変動金利にはかないません。今回は、以下の前提条件としました。
将来の物価の上昇があることを見込んで変動金利は5年ごとに0.3%ずつ、10年固定金利は10年ごとに0.5%あがると想定しています。
これ以上の物価変動があるかどうかはわからないですが、少なくともこれぐらいの物価変動は想定しておく必要があります。
この金利の想定が難しいからこそ、悩んでしまうのです。
しかし、悩んだところで、これは誰にもわからないので、どっちになってもこの返済額なら大丈夫というところで、あとは「どちらかを」選ぶしかないと思います。
重要なのは、しっかり試算をしておくことです。
まとめ
中古マンション購入完全ガイド(6)では、『住宅ローン計画』についてまとめました。
住宅ローンは、今後の金利がわからないからやっぱり難しいです。
しかし、物価上昇による金利上昇を見込むと、変動金利でもフラット35の固定金利でも、それほど変わらないものになりそうです。
そこは少し安心ですね!
しっかり時間をかけて住宅ローンの試算をしましょう!
本記事では私の実体験も含めて書きますので、すべての記事を読み通すことで、中古マンションの購入プロセスが頭の中でしっかりとシュミレーションできるようになると思います。
ぜひ通してお読みください。