建築家 片山東熊は、萩の長州藩出身です。なんと江戸時代です。その後、工部大学校を経て日本を代表する最初の建築家となりました。
本記事の内容
本記事では、建築家片山東熊の略歴、代表作、書籍を紹介したいと思います。建築家片山東熊は、萩の長州藩に生まれ、奇兵隊に所属して幕末には戊辰戦争にも出ています。その後、工部大学校では辰野金吾と同期でジョサイア・コンドルに学びます。日本の欧米化、近代化が始まる前の時代を知っている人です。この時代の建築家は、国の威信高揚の使命が肩にのしかかっているのを感じます。片山東熊設計のの国立博物館は行きやすので、ぜひ見てみましょう!
目次
- 建築家 片山東熊の略歴
- 建築家 片山東熊の作品
- 赤坂離宮(現・迎賓館)
- 東京国立博物館・表慶館
- 奈良国立博物館
- 建築家 片山東熊の書籍 紹介
- まとめ
1.建築家 片山東熊の略歴
建築家の片山東熊は、1854年(安政元年)に萩で長州藩士の家に生まれました。なんと江戸時代です。1865年(慶応元年)に11歳で奇兵隊に入隊します。また戊辰戦争に参戦しています。時代がすごいですね。
1868年(慶応4年)に明治維新!
1879年(明治12年)に25歳で工部大学校を卒業します。工部大学校におけるジョサイア・コンドルの最初の学生のひとりです。同期には、辰野金吾や曽禰達蔵もいました。
その後、工部省営繕課に勤務します。1882年(明治15年)に28歳で有栖川邸建設のため、欧州に渡ります。また、1886年(明治19年)には32歳の時にドイツを訪問します。
1904年(明治37年)に宮内省内匠頭を拝命します。宮内省では、赤坂離宮をはじめ、多くの建築を設計します。
県庁、博物館、宮内省の施設、また貴族の私邸など様々です。を中心に14件の設計を行った。 代表作である赤坂離宮(現・迎賓館)は、2009年に国宝に指定されました。
1917年に63歳で逝去します。
2.建築家 片山東熊の代表作 紹介
1909 赤坂離宮(現・迎賓館)
赤坂離宮(現在の迎賓館)は片山東熊の設計により、1909年(明治42年)に竣工しました。ここは、元紀州藩の屋敷跡でした。
日本の西洋化と富国強兵が急速に進んでいた時代であり、正面玄関の屋根の装飾には鎧武者の意匠があります。外観の西洋宮殿に日本の伝統的モチーフが混ざった意匠が多く見られます。
イギリスのバッキンガム宮殿やフランスのヴェルサイユ宮殿も参考にされた赤坂離宮は、基本的にネオ・バロック様式に基づており、外観は当時かなり華美であったといいます。
また、高温多湿の日本の気候に合わず住居としては使いにくかったため、皇太子嘉仁親王(後の大正天皇)はほとんど使用せず、天皇に即位したのちに赤坂離宮として使ったそうです。
昭和になると、佐藤栄作政権下で、旧赤坂離宮を改修して外国からの賓客をもてなす迎賓施設として改修されることが決まりました。5年間に渡って改修工事がなされ、本館は村野藤吾、和風別館は谷口吉郎の設計協力により1974年(昭和49年)に現在の迎賓館となります。
迎賓館赤坂離宮公式ウェブサイト
1909 東京国立博物館・表慶館
1900年に皇太子嘉仁親王(後の大正天皇)のご成婚記念として東京国立博物館・表慶館が計画され、1909年(明治42年)に竣工します。
中央と左右にドーム型の屋根があり、2階の外壁にはレリーフがあります。このレリーフのモチーフは製図用具、工具、楽器などで、見ていると結構面白いです。
1978年(昭和53年)には重要文化財に指定されました。
1894 奈良国立博物館
奈良国立博物館は、仏教美術を中心とした文化財の収集、研究、展示を行う施設として計画され、片山東熊の設計により1894年(明治27年)に竣工しました。
ジョサイア・コンドルの弟子としての力量が存分に発揮され、明治期の洋風建築の代表例といえます。
参考:1961 奈良国立博物館・新館(設計:吉村順三)
所蔵品が増えたため、片山東熊の奈良国立博物館の隣に吉村順三の設計による奈良国立博物館・新館が1972年に竣工します。この時から、正倉院展は新館で開催されるようになります。
また、本館と新館は地下道で結ばれています。その後、1997年には、やはり吉村順三の設計による東新館が完成します。吉村順三は1997年に亡くなったので、この建物の完成を見ているかどうかは不明です。また、最初の新館は西新館と改称しており、ふたつの新館は基本デザインが同じのため、竣工時期は異なりますが景観の調和が取られています。
25年経って新しく建てても、基本が同じデザインなんていいですね!デザインの強さを感じます。
3.建築家 片山東熊の書籍 紹介
見に行ける 西洋建築歴史さんぽ (日本語)
片山東熊を知るには歴史的な建築をまずは体験することが大事!歩いて楽しむ入門書として最適です!!
ニッポンの近代化を見つめてきた、全国各地45の建物たち。官公庁から学校、オフィスビル、ホテル、邸宅まで。時代とその建物を舞台として繰り広げられた人々の物語に焦点を当てながら、西洋建築を読み解きます。
Amazonより
4.まとめ
建築家片山東熊は、近代における日本建築の礎を築いた人物です。日本が江戸時代から明治に変わる大きな変革の時期を建築を通して見ていたと思います。歴史的な日本建築と近代のヨーロッパ建築についてどんな目を持っていたのでしょう。欧風建築の所々にある日本のモチーフが、片山東熊の思想を反映しているような気もします。そういう目で見ると、気になるところがたくさん出てきます。みなさんも何か探してみてくださいね。