ローマは、見どころが多すぎて困ります。近代建築や現代建築を論じる前に見るべき建築が多いです。
ローマは建物を壊して建て替えることはほとんどできません。そのため、現代建築にしても改修計画が主になります。
本記事の内容
本記事では、私が行ったことのある場所、これから行ってみたいの場所の中からローマ観光で絶対見ておきたい名所建築5選を紹介したいと思います。ローマは本当に見るべきものが盛り沢山です。かつて、ヨーロッパの建築家はみんなグランドツアーでローマに行ったり、あるいはローマ賞をとって数年ローマに滞在したりしました。建築家にとって、ローマはまさに聖地であり、デザインを参照する宝庫です。少しづつおすすめ項目を増やしていきたいと思います。
目次
- ローマ観光 1選:パンテオン
- ローマ観光 2選:フォロ・ロマーノ
- ローマ観光 3選:スペイン広場
- ローマ観光 4選:サン・ピエトロ大聖堂
- ローマ観光 5選:イタリア文明宮(マリオ・ロマーノ、 エルネスト・ラパドゥラ、 ジョバンニ・ゲリーニ設計)
- 建築現地ツアー
- まとめ
ローマ観光 1選:パンテオン
パンテオンはローマ時代の寺院であり、初期のパンテオンはアウグストゥスの治世(紀元前27年〜西暦14年)にマーカス・アグリッパによって建設されました。
初期のパンテオンの焼失後、皇帝ハドリアヌスによって再建されものが現在のパンテオンです。
おそらく西暦126年頃に完成しました。皇帝ハドリアヌスは、新しいパンテオンの正面に碑文を刻むのではなく、焼失したアグリッパの古いパンテオンに敬意を示して碑文を保持することを選択したため、その正確な建設日は不確かです。
建物は円筒形で、ペディメントの下に大きな花崗岩のコリント式の柱(正面に8つ、後ろに4つのグループが2つ)の柱廊があります。
長方形の玄関ホールではポーチを屋根付きのコンクリートドームの下にある円形建築に接続しています。また、中央の開口部(オクルス)は空に向かっています。
パンテオンのドームは、建設されてから約2000年経った今でも、世界最大の非鉄筋コンクリート製のドームです。
内部高さと内側の円の直径は同じで、43メートル(142フィート)です。
パンテオンは、長いローマの歴史を通じて継続的に使用されてきました。
7世紀以来からは教会として使用されてきたため、すべての古代ローマの建物の中で最も保存状態の良いものの1つです。
柱廊玄関が正面にあり大きな円形のドーム型が背後にパンテオンのある形は、ローマ建築ではかなり独特でした。
それにもかかわらず、その後の時代に古典的スタイルが復活したときには、このパンテオンが標準的な模範となり、後の建築家によって模倣されています。
ローマ時代の異端が、後の時代には標準なるなんて、やっぱり面白いですね。
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ローマ観光 2選:フォロ・ロマーノ
フォロ・ロマーノは、ラテン語でForum Romanumをイタリア語で表記したものです。
ローマ市の中心部にある重要な政府の建物の遺跡に囲まれた長方形の広場(プラザ)のことです。
ローマ市民は、この公共スペースを単にフォーラムと呼んでいました。
何世紀にもわたって、フォロ・ロマーノはローマ市民の日常生活の中心でした。
凱旋門の行列、選挙の場所、演説、刑事裁判、剣闘士の試合の会場など、生活の中核であったそうです。
パラティーノとカピトリーノの丘の間の小さな谷に位置するフォーラムは、今日、考古学的発掘が継続的に行われており、毎年450万人以上の観光客が訪れます。
古代ローマの重要な建造物の多くは、このフォーラムの上または近くにありました。これらには、古代の旧王宮、レギア、ウェスタ神殿などが含まれています。
その後、共和国の正式な集会エリアに発展し、上院と共和党政府が始まってからは、上院、官公庁、審判、寺院、記念碑がフォーラムに集まりました。
ジュリアス・シーザーは、司法府と上院の両方を合わせて、バシリカ・ジュリアを建設しました。この新しいフォーラムがほぼ最終形であると言われています。
その後、多くの経済や司法上の機能がフォロロマーノから北のより大きくて豪華な建造物(トラヤヌス帝のフォーラムとウルピア聖堂)に移りました。
その後、コンスタンティヌス帝の治世に、フォーラムの最後の主要な施設として、マクセンティウス大聖堂が建設されました、
これによって西ローマ帝国の崩壊まで、再度政治の中心地がフォーラムに戻ったそうです。
まさに、中心地であった場所なので、「ブルータス!お前もか」の舞台となったなど、想像すると面白いですね。
私は、こうした想像には、塩野七生さんの「ローマ人の物語」を挫折しながらも愛用しています。
すぐに挫折気味ですが、手放せません。
あとは全体像を把握するときに。
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ローマ観光 3選:スペイン広場
スペイン階段の一番下にあるスペイン広場は、ローマで最も有名な広場の1つです。
それはもちろん、オードリー・ヘップバーン主演の映画「ローマの休日」の舞台の一つだからです。
スペイン広場の名前は、この広場に面してあるスペイン大使館に由来しています。
ピンチョの丘の側にある急な斜面を都市化して、教会に接続する方法について何世代にもわたって熱烈な議論を重ねた後、スペイン広場はアレッサンドロ・スペッキとフランチェスコ・デサンクティスによって設計されました。
印象的な135段の階段は、教皇ベネディクトゥス13世によって作られました。この階段は、スペイン大使館とトリニタデイモンティ教会を接続しています。この階段は、フランチェスコ・デ・サンクティスによって提案されたものでした。
広場の真ん中には、ピエトロ・ベルニーニとジャン・ロレンツォ・ベルニーニによって彫刻された、バルカッチャの噴水があります。
スペイン階段の右隅には、1821年に亡くなるまでそこに住んでいた英国の詩人ジョン・キーツの家があります。左隅には、1893年に設立されたバビントンのティールームがあります。
スペイン広場の延長線上にミニャネッリ広場があり、そこには、1856年に建てられた「無原罪の御宿り」を示す柱がそびえています。
都市全体の中でこのスペイン広場を捉えてみると、新しい視点が生まれてきて面白いですね。
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ローマ観光 4選:サン・ピエトロ大聖堂
バチカン市国の旧サンピエトロ大聖堂は、西暦4世紀に建てられました。
現在のサン・ピエトロ大聖堂は、ルネッサンス様式で建てられた教会です。大聖堂の建設は1506年に始まり、1626年に竣工しました。
主にドナト・ブラマンテ、ミケランジェロ、カルロ・マデルノ、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニによって設計されました。
このサン・ピエトロ大聖堂は、ルネサンス建築の最も有名な作品であり、また世界最大の教会です。
カトリックの伝統では、サン・ピエトロ大聖堂は聖ペテロの埋葬地であるとされています。聖ペテロの墓は、おそらく大聖堂の高い祭壇の真下にあります。
ローマ教皇は、サン・ピエトロ大聖堂または隣接するサン・ピエトロ広場の両方で、年間を通じて多くの祭典を主宰します。
これらの祭典には、80,000人以上の人々が来ます。
教皇の祭典は現場で見たことはないのですが、一度見てみたいですね。
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ローマ観光 5選:イタリア文明宮(マリオ・ロマーノ、 エルネスト・ラパドゥラ、 ジョバンニ・ゲリーニ設計)
イタリア文明宮は、ローマのエウル地区にあります。イタリアの建築家マリオ・ロマーノ、エルネスト・ラパドゥラ、ジョバンニ・ゲリーニによって1937年に設計が開始されました。
この建物はイタリアの軍国主義の時代を反映しています。合理主義とファシスト建築の例としてよく知られています。
古代ローマ建築を参照しながら合理主義を付加すると、その建築様式はしばしば単純化された新古典主義となります。
この「スクエアコロッセオ」と言われるデザインは、ベニート・ムッソリーニが古いローマのランドマークである「コロッセオ」を祝うことで、己の正当性を高めるために意図したものです。
この建物にはコロッセオと同様に、宮殿には一連のロッジアが重ねられています。
ロッジア(loggia):イタリアにおける建築デザイン用語です。ファサードにおいて一方側が外に開かれた廊下を配しているもので、一定の間隔で柱があります。あるいは柱が開口部と一体となった形状もあります。開廊や涼み廊下とも言われます。
ファサードにはそれぞれ9つのアーチが6列に並んでいます。じつは、この組み合わせは、最初は13 x 8でしたが、数回変更されました。11 x 7、11 x 6、7 x 5といった組み合わせも試していたようです。
イタリア文明宮の4つの側面すべての上に、1935年にベニート・ムッソリーニが行った演説から取られた碑文があります。
イタリア文明宮は、トラバーチン大理石で覆われています。ベースは8,400平方メートルであり、高さは68メートルです。
1942年に予定されていた万国博覧会は、ベニート・ムッソリーニにとって格好のアピールの場でした。
大規模なビジネスセンターおよび郊外の複合施設としてのユニバーサル・ローマ・プログラムの一環として、また世界のファシズム主義を象徴するものを計画しました。
万国博覧会は、1941年に中止され建物は空のままで、10年以上の間放棄され、その後、1953年に初めて一般公開されて1953年のロマ農業展示会(EA53)が開催されました。
2003年から2008年の間に修復され、2015年に高級ファッションブランドのFENDI(フェンディ)の本社となりました。
建築現地ツアー
ローマはとにかく見どころが盛り沢山です。現地ツアーも上手に使うと、時間を有効に使えて便利です。
ローマ現地ツアー
現地行ってからでも、空いた時間を効率的に使うためにチェックしてみると良いと思います。
けっこういろいろなツアーがあるので、必要に応じて使ってみましょう。とにかく、移動時間が大幅に削減できる&美味しいものも食べられる(たまにイマイチですが)のがいいのです。
まとめ
ローマは何回も行ってみないと、とても見るべきポイントを回りきれません。お金貯めて、ぼちぼち行っています。行くたびに新たな発見があるので面白いです。しかし、やっぱり好きなのはパンテオンです。早朝、誰もいないときに行ったパンテオンが、静寂で神秘的で忘れられません。ローマで回るときは、「カラー版西洋建築史」を片手にいろいろ見ていました。現物と本を同時に見る幸せを感じるのです。