建築史家 鈴木博之は、日本を代表する建築史家のひとりです。
1990年に出版された『東京の「地霊(ゲニウス・ロキ)」』で、一般にもかなり有名になったのではないかと思います。
この作品によりサントリー学芸賞を受賞しています。
まずは、ここから入るのがおすすめですね。
鈴木博之は、東京に生まれです。東京大学工学部建築学科を卒業して、1974年から東京大学工学部で教鞭をとるようになります。
2012年に実施された東京オリンピックのメインスタジアムである国立競技場のデザインコンペの審査員を務めました。
2013年7月13日基調講演「建築の現在・継承・襲名」の中で、鈴木博之は「当選案のザハ案は、その技術的挑戦課題も含め、(丹下健三の)代々木体育館へのオマージュとも解釈でき、圧倒的に優れていた」と語っています。
その後すったもんだあって、、、、ご存知の通り結局ザハ案はお蔵入りになりました。
なちみに、最終審査でザハ案を1位に選んだのは10名中4名(鈴木博之、安藤忠雄、都倉俊一(当時の文化庁長官)、外国人審査委員1名)でした。
私は、技術的解決とお金もの問題はありますが、ザハ案は見てみたい建築でした。
というわけで、今回は鈴木博之の執筆した本のご紹介です。
本記事の内容
本記事では、建築史家 鈴木博之が執筆した書籍【5選】を紹介します。鈴木博之は、建築史家として多くの批評を行っており、さまざまな本を書いています。ここでは、私が読んだことのある作品の中から厳選した5選をご紹介します。
目次
- 日本の地霊 ゲニウス・ロキ(鈴木博之 著)
- 東京の地霊 ゲニウス・ロキ(鈴木博之 著)
- 世界遺産をもっと楽しむための西洋建築入門(鈴木博之 著)
- ロンドン ――地主と都市デザイン(鈴木博之 著)
- 近代建築論講義(鈴木博之 著)
1. 日本の地霊 ゲニウス・ロキ(鈴木博之 著)
建築史家 鈴木博之の代表作の一つです。
あらゆる場所にゲニウス・ロキ(地霊)がいる。
土地には、つまり人が住んでいたところにはさまざまな歴史の記憶が刻まれている。
それを、ある建築をヒントにしながら読み解いていく。
土地の区画、大きさ、そして建物自身に、その土地の記憶が面白いように埋め込まれています。
こういう見方ができると、どこを旅行しても面白いですね!
「人間の歴史は、土地の上に刻まれた営みの蓄積なのだ。」近現代史を場所という視点から探るためのキーワード「地霊」。土地、建築、街並みが語る声に耳を傾けるとき、失われた記憶や物語が浮かび上がる。国会議事堂にひそむ鎮魂のデザイン、広島平和記念公園と厳島神社の意外な共通点、渋沢栄一や岩崎彌太郎がゆかりの地に寄せた想い―。優れた建築を守り伝える時代への転換をうながした建築史家の代表作。
2. 東京の地霊 ゲニウス・ロキ(鈴木博之 著)
こちらは、サントリー学芸賞を取った鈴木博之の代表作です。
日本橋室町、上野の山など、あらゆる場所に地霊(=ゲニウス・ロキ)を見出します。
建築を専門としていない一般の人にも多く知られるきっかけとなった重要書籍です。
読みやすいですよ!
三井財閥と久能木一族が争った一等地・日本橋室町、薄幸の皇女の影をひきずる林野庁宿舎跡地、天海僧正が京都を模した上野の山…。どのような土地にも、時を経ても消えることのない歴史・記憶の堆積、「地霊(=ゲニウス・ロキ)」がある。それは、土地に結びついた連想性と可能性を生み、その可能性の軌跡が都市をつくり出していく。江戸から平成まで、近代の東京の歴史は、そうした土地の歴史の集積として見ることができるだろう。数奇な変転を重ねた都内13カ所の土地を、新しい視点から考察し、広く話題を呼んだサントリー学芸賞受賞作。
3. 世界遺産をもっと楽しむための西洋建築入門(鈴木博之 著)
ヨーロッパ旅行で、訪れることの多い美術館や史跡を見る前に是非読んでもらいたいです。
パルテノン神殿、アヤ・ソフィア、ケルン大聖堂、サンタ・マリア・デル・フィオーレ聖堂、サン・ピエトロ大聖堂、ヴェルサイユ宮殿、ルーブル美術館新館・・・など
読んでから旅行をすると、たぶん10倍は楽しめます。(これさえ読めば添乗員さんよりも知っていたりして・・・)
ヨーロッパ旅行に出かける旅行者の観光の目玉といえば、世界遺産。有名な教会や宮殿などが建築された時代の建築様式の基本を知ることで、さらに鑑賞が楽しいものになる。本書では、古代から19世紀までの西洋建築の様式の特徴と魅力を、世界遺産を例に紹介・解説する。登場する世界遺産は、パルテノン神殿、アヤ・ソフィア、シャルトル大聖堂、ケルン大聖堂、サンタ・マリア・デル・フィオーレ聖堂、サン・ピエトロ大聖堂、ヴェルサイユ宮殿、ルーブル美術館新館…など。
4. ロンドン ――地主と都市デザイン(鈴木博之 著)
ロンドン特有の都市開発の歴史がわかります。
貴族階級が所有していた広大な土地は、地主がディベロッパーとして開発されてきました。
よって開発には、その地主のカラーがよく出るのです。
ロンドンの土地活用と町づくりを知るのに最適な本です。
ロンドンは広大な土地を持つ地主たちにより、エステートごとに開発されてきた。公園やストリートの名前からは地主や開発に携わった人物が読み取れる。彼らはまとまった土地を全体として有効に活用する町づくりができる立場なのだ。エステートと建築の由来を追い、特異な発展を遂げてきた巨大都市の形成史を知る。
5. 近代建築論講義(鈴木博之 著)
東京大学の近代建築論の講義を読むことができます。
近代建築に関する基礎的な教養を得ることができるのでおすすめです。
建築史家 鈴木博之は、建築批評だけでなく近代建築の保存にも尽力してきたので、そうした保存運動に関する記述も面白いです。
時代とともに移り変わる建築とその理論――西欧化とアイデンティティの模索という葛藤のさなかに、どのような表現が生み出され、その場所に息づいてきたのか。批評、設計から保存運動まで、第一人者たちが縦横無尽に語りつくす。
最後に
如何でしたか?今回は、建築史家 鈴木博之が執筆した書籍【5選】を紹介しました。やわらかい口調の中で、するどい議論を展開して、論破された建築家も多かったと思います。残念ながら68歳という若さで亡くなっているので、もっと活躍できたと思うので残念です。「東京の地霊 ゲニウス・ロキ」で、広く一般にも知られています。興味のある本から読んでみると良いと思います。
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