オーストリアは、モーツァルトに代表されるように音楽芸術や、クリムトなどの世紀末芸術でも有名です。建築を含む芸術文化では、近代においてとても重要なユーゲント・シュティールからセセッションへの流れがあります。オーストリアに行ったら是非とも見ておきたい名所建築5選です。
本記事の内容
本記事では、私が行ったことのある場所の中からオーストリア観光で絶対見るべき名所建築5選を紹介したいと思います。オーストリアは文化的な見所が盛り沢山です。ここでは、近代建築を中心にしながら、オーストリアの観光で見ておくべき名所5選を紹介したいと思います。
目次
- オーストリア観光 1選:ウィーン郵便貯金局(オットー・ワーグナー設計)
- オーストリア観光 2選:ロースハウス(アドルフ・ロース設計)
- オーストリア観光 3選:クンストハウス・ウィーン(フンデルト・ヴァッサー設計)
- オーストリア観光 4選:ガソメーター(ジャン・ヌーヴェル/コープヒンメルブラウ/マンフレッド・ヴェドルム/ウィルヘルム・ホルツバウアー設計)
- オーストリア観光 5選:セセッション館(ヨゼフ・マリア・オルブリッヒ設計)
- まとめ
オーストリア観光 1選:ウィーン郵便貯金局(オットー・ワーグナー設計)
オーストリア・ウィーンにある郵便貯金局の建物です。
建築家オットー・ワーグナーによって設計された近代建築の先駆的な建築です。この建物は、ウィーン分離派の重要な作品と見なされています。
1904年から1906年の間に、当時新しい素材であった鉄筋コンクリートを使用して建設されました。
この郵便貯金局の高さ8階までの建物が、この街区全体を占めています。ファサードは、金の貯蔵庫を彷彿とさせる正方形の大理石とアルミニウムで覆われています。
花崗岩は、基壇のレベルと、エンターブラチャーなどの上部レベルに取り付けられています。
大理石のタイルがリベットで壁に固定されているように見えますが、このリベットは純粋に装飾的です。実際には、厚さ約10cmのプレートは石膏で固定されているため、リベットには支持機能がありません。
大理石を使用することで、ファサードのメンテナンスとクリーニングが非常に簡単で安価になり、ワーグナーの設計における重要な機能的な要素になります。
ワーグナーは、オーストリアの化学者であるカール・ヨーゼフ・バイエルが工業生産のために完成させたアルミニウムを高く評価していて、リベットだけでなく、柱廊玄関やセントラルヒーティングファンなど、建物の外側と内側の装飾要素にアルミニウムを使用しています。
また、高さ4.3メートルの彫刻はワーグナーの長年の協力者であるオスマー・シムコウィッツの作品で、初めて鋳造アルミニウムで作られており、建物の屋根に配置されています。
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オーストリア観光 2選:ロースハウス(アドルフ・ロース設計)
ロースハウスは、ウィーンのモダニズムの中心的な建物のひとつです。
設計は、アドルフ・ロースです。
この建物は、これまでの新古典主義建築にあった歴史主義からの脱却を示しているだけでなく、装飾からの脱却も示しています。
設計はきわめて機能主義にもかかわらず、建物は単純な目的のみを達成するということを避けています。つまり、建設において材料、コスト、労力を節約していません。
大理石で覆われた下部ファサードエリアと、上記の住宅フロアのシンプルな漆喰ファサードとのコントラストが際立たせるために、多くの手間とコストかけています。
この意味で、単純な機能主義だけでこの時代の建築を語ると、重要な要素を見落として、片手落ちになってしまいます。
正面のビジネスエリアの前には、教会の柱廊玄関をほのめかすように設計されたトスカーナの柱のある列柱があります。
上層階には装飾を避ける代わりに、窓の前にフラワーボックスがあります。当初は何も設置されたなかったのですが、建築委員会の指摘により最低限の装飾が施されました。
ホーフブルク王宮の向かいにあることも特徴的です。
権威主義、歴史主義に建築の側面から反旗を翻しています。
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オーストリア観光 3選:クンストハウス・ウィーン(フンデルト・ヴァッサー設計)
クンストハウス・ウィーンは、芸術家フンデルト・ヴァッサーによって設計された美術館です。
この美術館には、フンデルト・ヴァッサーの作品の世界で唯一の常設展示があります。
博物館は、1892年の建物の改修によって作成されました。同じくフンデルトヴァッサーによって設計され1986年に完成した、フンデルトヴァッサーハウス(市営アパート)も近くにあります。
気になった人は見に行ってみて下さい。
美術館の改修はフンデルト・ヴァッサー自身の設計で、1989年から91年にかけて行われました。建物全体がフンデルト・ヴァッサーのデザインが施され、波状の起伏のある床があり、直線はほとんどありません。
なにか、荒川修作と詩人のマドリンギンズの養老天命反転地にも似た雰囲気を感じます。
全体に明るく眩しい色が使われて、葉がたくさんあります。
ホワイエには噴水があり、ウィンターガーデンを彷彿とさせる植物が豊富なレストランがあります。不均一に曲がりくねった階段は、上層階の展示の主要部分に通じています。
この博物館はファサードと隣接するセクションには、エナメルを塗られた市松模様のモザイクで装飾されています。
アントニオ・ガウディとは対照的に、フンデルト・ヴァッサーは慎重に配置された対称的なモザイク石を使用しています。同様に、各石のサイズは偶然ではなく慎重に選ばれています。
モザイクは表面の特定の部分のみを覆い、全体として建物の引用に大きく貢献しています。
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オーストリア観光 4選:ガソメーター(ジャン・ヌーヴェル/コープヒンメルブラウ/マンフレッド・ウェードン/ウィルヘルム・ホルツバウアー設計)
ウィーン郊外に、1896年から1899年にウィーン市営ガス工場が建設した4つのガスタンクがありました。1984年までガス貯蔵タンクとして使用されましたが、都市ガスから天然ガスに切り替えられた後に閉鎖されました。
ウィーンはこのガスタンクの再利用を建築家ジャン・ヌーヴェル(ガスタンクA)、コープ・ヒンメルブラウ(ガスタンクB)、マンフレッド・ウェードン(ガスタンクC)、ヴィルヘルム・ホルツバウアー(ガスタンクD)に依頼します。
4つの建築チームが選んだデザインが1999年から2001年の間に実施され、最上階のアパート、中層階のオフィス、1階のショッピングモールが完成します。
各ガスタンクのショッピングモールのレベルは、スカイブリッジによって接続されています。また、歴史的な外壁はしっかり保存されています。
こうした歴史遺産の再利用は、日本もうまく見習えると良いなと思いますが、日本は地震の問題があるためなかなか進まないのが現状です。
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オーストリア観光 5選:セセッション館(ヨゼフ・マリア・オルブリッヒ設計)
セセッション館は、オーストリアのウィーンにある美術展示ホールです。
1898年に、ウィーン分離派の建築的なマニフェストとしてヨーゼフ・マリア・オルブリッヒによって設計されました。
この建物には、グスタフ・クリムトによる歓喜の歌が飾られており、分離派の方向性を指し示す芸術作品のひとつといえます。
また、この建物は、哲学者のルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの父であるカール・ヴィトゲンシュタインによって資金提供されたことでも知られています。
この分離派運動のモットーは、パビリオンの入り口の上に書かれています。
「すべての年代に芸術を、すべての芸術にその自由を」(Der ZeitihreKunst DerKunstihre)と書かれています。
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まとめ
今までに行ったことのある場所の中から、今後もオーストリア観光で訪れてみたい建築を選んでみました。オーストリアは、やはり世紀末芸術がとてもおもしろいです。それは、建築、海外、音楽などすべての芸術文化に及んでいます。是非機会があったら行ってみてください。