建築家 ポール・ルドルフは、米国のケンタッキー州出身の建築家です。米国ブルータリズム建築の代表作を設計していることで有名です。
本記事の内容
本記事では、建築家ポール・ルドルフの略歴、代表作、書籍を紹介したいと思います。建築家ポール・ルドルフと聞くと、ルドルフって何人もいるなぁと思いませんか?ルドルフ・シンドラーの場合は、ルドルフは名前の方です。英語のスペルは違いますが、カタカナにすると名字も名前も同じルドルフでややこしいですね。建築家ポール・ルドルフはブルータリズムに代表される、荒々しいコンクリート建築が有名です。
目次
- 建築家 ポール・ルドルフの略歴
- 建築家 ポール・ルドルフの代表作 紹介
- 1953 ウォーカーゲストハウス
- 1958 イエール大学美術建築学部
- 1963 マサチューセッツ・ダートマス大学
- 建築家 ポール・ルドルフの書籍 紹介
- まとめ
1.建築家 ポール・ルドルフの略歴
ポール・ルドルフは、1918年にケンタッキー州で生まれました。ポール・ルドルフは幼少期から絵画と音楽に才能があったそうです。有名な、ポール・ルドルフの透視図を見るとその事がよくわかります。
1940年に建築の学士号を取得し、ハーバード大学大学院に進みます。そこで、ヴァルター・グロピウスに師事します。その後、3年間海軍に所属し1947年にハーバードに戻って修士号を取ります。1952年、34歳のときに自分の事務所を開きます。
1950年にフロリダ州サラソタに立てたW. R.ヒーリーゲストハウス(コクーンハウス)は初期の作品です。1階建てのゲストハウスで屋根は凹型であり、ルドルフはジャロジー窓を使用して風が家の中を流れるようにしました。
初期のランドマークとしては、1957年に最初の大規模プロジェクトであったリバービュー高校があります。残念ながら、2006年に郡の教育委員会が構造を解体するという決定を行い、歴史的建築物として保存の論争も起こりましたが、2009年にリバービュー高校は解体されました。リバービュー高校は、グリーン・アーキテクチャのプロトタイプといえます。時代をはるかに超えて、日差し緩和と換気の実験的な設備を実施しています。
1950年代後半ポール・ルドルフはフロリダの住居建築で大きな注目を集め、大型建築の依頼が増えてきます。1958年のイエール大学美術建築学部ビルディングは、まさにランドマークであり、ポール・ルドルフの傑作の一つです。また、1961年の竣工したニューヘブンにあるテンプルストリート・パーキングガレージも有名です。
イェール大学建築学部でポール・ルドルフは、ムザール・イスラム、ノーマン・フォスター、リチャード・ロジャースを教えています。特にフォスターは、ルドルフの教えて大きな影響を受けていると言っています。また、ポール・ルドルフは教え子であるムザール・イスラムに招待されて、バングラデシュ農業大学を設計しました。
その後の作品としては、ボストンの政府サービスセンター、マサチューセッツ大学ダートマス校、ウェルズリーカレッジのジュエットアーツセンターなどが有名です。1974年に完成したバッファローのショアラインアパートは、低所得者向け住宅の先駆的な事例です。
1970年代以降は米国でブルータリズム建築があまり支持されなり、ポール・ルドルフはガラスのオフィスタワーにチャレンジしています。たとえば、テキサス州フォートワースにあるシティセンタータワーなどです。
1997年に79歳で逝去しました。
ポール・ルドルフは彼のアーカイブのすべてを米国議会図書館に寄付しました。この遺贈によって米国議会図書館に建築、デザイン、エンジニアリングセンターが設立されました。
2.建築家 ポール・ルドルフの代表作 紹介
1953 ウォーカーゲストハウス
ウォーカーゲストハウスは、ラルフ・ツウィッケルとの長期的なパートナーシップを離れた後のポール・ルドルフの最初のプロジェクトでした。木製のパネルを調整するための重りとして赤いキャノンボール(砲弾)が使用されたため、このプロジェクトは「砲弾の家」としても知られています。
ボールが下がると、パネルはキャノピーとして機能し、家をオープンな状態に変えます。上昇すると、家がプライベートな状態に変わります。
この家はサザビーズのオークションに掛けられ、1.6エーカーの敷地にある湾岸に面したメインの住宅とともに、920,000ドルで落札されました。
1958 イエール大学美術建築学部
現在は、ルドルフ・ホールと呼ばれるイエール大学美術建築学部ビルディング(A&Aビルディング)は、ブルータリズムの建築例として有名です。
1963年に完成したこの建築は、極めて複雑なプランを持っています。建物はリブ付きのブッシュハンマーコンクリートで、ニューヨーク州バッファローにあるフランク・ロイド・ライトのラーキン管理棟と、ル・コルビュジエの後期の建物の影響を受けたと言われています。
この建築は、建築評論家からも賞賛され、多くの建築賞を受賞しています。しかし、時が経つにつれて、建物に対する批判的な反応も増えて、建築史家のニコラス・ペブスナーによる構造の批判もよく知られています。
1963 マサチューセッツ大学ダートマス校
マサチューセッツ大学ダートマス校はボストンにありますが、同地の政府サービスセンターと似ており、ブルータリズムの建築として知られています。
階段の高さは比較的短くしており、アトリエといわれる人々がホールのセクション間で交流する場があります。これらのエリアには、吊り鉢や鉢植えの屋内植物もたくさんあり、居心地の良い空間です。
1960年代には好まれたブルータリズム建築のアイコンは、1970年代以降イエール大学美術建築学部ビルディングと同様に批判の対象となりました。
3.建築家 ポール・ルドルフの書籍 紹介
Paul Rudolph: Architectural Drawings
ポール・ルドルフのスケッチです!!ポール・ルドルフの書籍といったら、まずこれでしょう!このドローイングに刺激された人は数知れず!必見ですね。
- ハードカバー: 210ページ
- 出版社: Taylor Pub (1982/1/1)
- 言語: 英語, ドイツ語, フランス語
- ISBN-10: 0803802080
- ISBN-13: 978-0803802087
- 発売日: 1982/1/1
4.まとめ
建築家 ポール・ルドルフは、米国のブルータリズム建築を代表する建築家です。フロリダには、住宅も多く作っているので、住宅と大規模建築ではイメージが少し違います。フロリダの住宅建築で米国建築界で有名になり、その後大規模建築に移っていくわけです。こう考えるとやはり住宅建築が基本であり、その後に大きな依頼を受けるためにも重要だなぁと思います。それにしても、ポール・ルドルフの透視図は、頑張って真似したのを思い出します。